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ボズ・スキャッグス / "BUT BEAUTIFUL" [jazz / Male Vocal]

But Beautiful

Artist : Boz Scaggs
Title : "BUT BEAUTIFUL"
Release : 2003
Style : Jazz / Adult Contemporary (male vocal)
jazz度数・・・★★★★★ (5/5p)
お気に入り度数・・・※最高は5つ
Situation・・・

 来る11月13日からの1週間、2004年の5月以来、1年半のインターバルを経てボズ・スキャッグスBlue Note Tokyoでのショーが再演される。1度は彼のライブを是非にも観に行ってみたいものだと、彼が来日する度にいつも思うのだが、どうやら今回も期間中に僕が青山へ出向くことは無さそうだ。やっぱり、たったの1時間で終わってしまうだろうショーのミュージック・チャージが12,600円もするってのは少しばかり高過ぎるよね。幾らボズが大物だって言ったって・・・。

Boz Scaggs's official web site : http://www.bozscaggs.com/




 “LOWDOWN”“JOJO”をナマで聴きたい。そうは思えども、やっぱりこう高いとホイホイと気軽には観に行けないんだなぁ・・・。ほとんど、ちょっとしたコンサート2回分の金額だもんね。僕も以前はボビー・コールドウェルやデヴィッド・サンボーンのブルーノート公演に12,000~13,000円も払っていそいそと出掛けていた。憧れのスター・アーティストがすぐ間近で演奏してくれるんだから、決してそれは高過ぎるもんじゃないと思ってたんだな。でもMotion Blue yokohamaが出来てからというもの、何だか少し違うんじゃない?って、青山のチャージの高さに疑問を感じ始めた。だって同じアーティストのライブが横浜だと大体8掛けなんだもん。例えば青山で8,000円するライブが横浜だと6,400円くらい。これって丁度、黙っててもビールかグラスワインが2杯、もれなくサービスで付いて来るのと同じなんだよね。それって結構デカいでしょ?(笑)。


 AOR時代のファンにしてみれば、スタンダード・アルバムの『BUT BEAUTIFUL』(2003)なんて退屈極まりないのかも知れないけど、僕はとても気に入ってよく聴いている。最近はようやくマイケル・ブーブレジェイミー・カラム等、若手の男性ヴォーカリストの作品がリリースされてヒットし、やっと巷の話題にも上るようになって来たけど、ちょっと前まではハリー・コニック,JR以降の男性ジャズ・ヴォーカル界は長~くスター不在。歌う7弦ギタリスト、ジョン・ピッツァレリ以外にはさしたる名前も思い浮かばない程の大不作が続いていた。そんな中でボズのこのアルバムとケニー・ランキン『A Song For You』(2002)の2枚は僕にとって久々に聴ける、カッコ良いオトナのオトコのジャズ・ヴォーカル・アルバムだったもの。


 このアルバムは、残念ながら2004年の2月に他界してしまった元ドゥービーブラザースのサックス・プレーヤー、コーネリアス・バンパスがボズに引き合わせたピアニスト、ポール・ネイグルとの出会いがきっかけで、以前日本のファン向けに自身のヒット曲をアンプラグド化した『FADE INTO THE LIGHT』(1996)を下敷きにして、自作曲の本格的なジャズ・フォーマット化をボズが考え始めたのが事の始まり。(※このアルバムは近日にDVDが追加されリイシューが決定。但しCCCD。)

 ポールらジャズ・ミュージシャンとのセッションの具合は上々で、気を良くしたボズはスタンダードをもレパートリーに取り入れる事を考え始める。2001年に自ら思うところ有って、ヴァージンとのメジャー契約を打ち切っていたボズはGRAY CATと言う自己レーベルを立ち上げ済みであり、作品制作に当たっての煩わしい外野の制約は一切無かった。このアルバムには彼本人が思うが儘にチョイスした愛すべき楽曲とミュージシャン達により奏でられる、今の彼が求めるサウンドが詰め込まれたのだ。ボズはここではリラックスした大人の歌唱を見せ、技巧に走ることなくオリジナル・メロディを大切に、慈しむようにバラッドを歌う。特に僕が挙げたいお気に入りは、たおやかに流れるようなボズの甘い声で聴かせる②“NEVER LET ME GO”と、バド・パウエルのオハコとしても有名な⑧“I SHOULD CARE”。どちらもエリック・クリスタルの寄り添うテナー・サックスが最高にムーディな色を添えている。ボズの声と彼のサックスは抜群の相性だ。


 しかし、こんなにも僕が気に入っているにも関わらず(苦笑)、ここ日本では残念な事に、古くからのAORファンには「こんなボズ、AORじゃないから・・・」と冷たく袖にされ、jazzファンには、「どうせ歳食ったAORアーティストのなんちゃってjazzなんじゃないの?」とハナから相手にもして貰えないと言う、ちょっと悲しくも困った状況に陥っている。きっとどちらも先入観でアタマ固まっちゃって、きちんと作品聴いてないんだろうなぁ・・・。意地の悪いジャズ・ファンは仕方無いとして、ボズの事をかつて好きだったはずのAORファンが冷たいのはどうしてなんだろう。どうしても『SILK DEGREES』『MIDDLE MAN』のあの頃のボズしか許せないんだろうかなぁ・・・。

 あの頃、まだ子供だった僕には、AORって本当にカッコイイ大人の音楽だった。AORを聴く事で、思いっきり背伸びして、大人の男のダンディズムやロマンスに少しでも触れられているような気持がしていたんだ。僕が、jazzを歌う今のボズを何の抵抗もなく受け入れられるのは、「かつて好きだったから」やただ単に「AORが絶対的に好き」だったからじゃなくて、相変わらず彼に満ち溢れている「大人の男」の色気に、今も絶対に敵わないと憧れ続けているからなんだと思うのだ。つまりはAOR自体に憧れていたんじゃなくて、大人の音楽だと思えていたからこそのAORだったんだよね。カッコイイオトコは、AORを歌ったってjazzを歌ったって、サラリとクールにこなしてみせるモンなんだよ、今も昔も。

 ・・・って、ここまで書いたら、やっぱり何だかとっても観たくなって来た。
でもでもやっぱり迷うよね~、\12,600は。せめて確実に1時間半以上演奏してくれるのなら兎も角ねぇ・・・(苦笑)。
暫し逡巡、だな。




下のジャケット・フォトをクリックすると試聴可能なAmazonのサイトが別ウインドウで開きます

But Beautiful But Beautiful
Boz Scaggs (2003/05/06)
Gray Cat
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01.WHAT'S NEW
02.NEVER LET ME GO
03.HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON?
04.SOPHISTICATED LADY
05.BUT BEAUTIFUL
06.BEWICHED, BOTHERED AND BEWILDERED
07.EASY LIVING
08.I SHOULD CARE
09.YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS
10.FOR ALL WE KNOW
11.MY FUNNY VALENTINE (bonus track for Japan)

■Musicians
Boz Scaggs (vocal), Paul Nagel (piano & arrengements), Eric Crystal(sax), John Shifflett(bass), Jason Lewis(drums) 録音2003年3月



タグ:ジャズ AOR
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