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マイケル・ブーブレ / "CALL ME IRRESPONSIBLE" [jazz / Male Vocal]

Call Me Irresponsible

Artist : Michael Buble
Title : "CALL ME IRRESPONSIBLE"
Release : 2007
Style : Jazz (malevocal)
jazzっぽさ・・・★★★☆☆ (3/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ

 デヴィッド・フォスターが手掛けるマイケル・ブーブレのメジャー進出第3作目。実は、そろそろ制作陣の変更をするなりして目先の変化を付けないと、新鮮味も薄れて飽きが来る頃かもな~、なんて具合に勝手な心配していたのだ。しかし、そんな杞憂を軽く吹き飛ばすが如くオープナーに選ばれたナンバーはトニー・ベネットの歌唱で知られる“The Best Is Yet To Come”。マイケルはビッグ・バンドにオーケストラまで従えて余裕綽々。伸びやかに、高らかに歌い上げ、こう宣言するのだ。「ここからが最高なんだ。お楽しみはこれからだよ!」ってね。




 最初にこのアルバムを聴いてみたのはクルマの中で。サラッと一通り聴いてみた僕の感想はと云うと、あんまりパッとしなかった。基本的には前2作の路線がそのまま踏襲されていて、タイトル曲⑦の様にシナトラやトニー・ベネットなど往年の名歌手を思わせる正当派楽曲=スタンダードに加え、②のようなラテン・ダンス・チューンを織り交ぜる手法も従来のとおり。
悪くはないけど、やっぱり新味は感じられないし、これをやってくれてるのが嬉しい!って特別にお気に入りの曲が含まれているワケでも無し。70~75点くらいのアルバムかな、なんて気持ちだった。

 そんな僕の気持ちが、グッとプラス方向に傾いていったのは、自室で落ち着いて聴いた2度目から。1曲ずつ、じっくり鑑賞してみると、つくづく、上手いなぁと改めて感心してしまったのだ。

 元より「聴かせる」タイプのヴォーカリストであるマイケルだけど、ここに来て歌の表現力がまた一段上がったような気さえする。特に感じ入ったのが、歌い手によってはベタついて泥臭くなりがちな③“Me And Mrs.Jones”での爽やかなパフォーマンス。熱く歌い上げつつも、決して沸点までは意識して到達させない様な感情抑制の効いた歌唱に、忍ぶ恋の甘酸っぱさ、やるせなさがとてもよく表現されているのだ(※これって不倫の歌だからね^^;)。こんなの聴かされちゃったら、彼の女性ファンはもう堪らないだろうなぁ(笑)。


 なお本作にはなかなか面白い取り合わせとなる二組のゲストがデュエットで参加している。
 先ずボーイズⅡMenがフィーチャリングされているのが⑤“Comin' Home Baby”。日本人ならつい美空ひばりを思い出してしまう(笑)この曲は、マイケルとは浅からぬ縁の映画『TWO WEEKS NOTICE』でもオリジナルが使われていたもの。※因みに映画の中ではヒュー・グラントとサンドラ・ブロックがヘリコプターに乗り込むシーンで抜群のタイミングでマイケルの歌う“COME FLY WITH ME”が流され、僕は大爆笑させられてしまった。

 もう1曲はブラジリアン・ポップスの巨匠イヴァン・リンスとエリック・クラプトンの⑧をボサノヴァ風味にしてデュエット。聴くまでは、随分とまた意表をつく取り合わせだなぁと思ったのに、意外や意外、2人の声の混じり合うのはとても自然で心地良いものだった。

 それに続くのが本アルバムから最初にシングル・カットされる自作曲⑨“Everything”。随分とポップス的(それもカントリー風味付け)な仕上がりで、これには少々吃驚してしまった。まるで青春ロードムービーのロール・エンドででも流される様な青くさい素朴な曲なんだけど、これがまた悪くないんだな(^^;。

 これと⑥の2曲のオリジナルのポップさで、幾分ジャズ度合いが薄まった感じもするけれど、これはマイケルの人気が上がるに連れ、より多くのリスナーにアピールしなければいけないワケで致し方ないところだろう。同時期に売り出したジェイミー・カラムの成功の仕方も無視出来ないだろうしね。僕はこの程度にポップなマイケル・ブーブレも決して悪くないと思う。

 総じて捨て曲なし。聴くほどに親しみの増す良いアルバムです。






下のジャケット・フォトをクリックすると試聴可能なAmazonのサイトが別ウインドウで開きます。

Call Me Irresponsible Call Me Irresponsible
Michael Buble (2007/05/01)
Warner Bros

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01. Best Is Yet to Come
02. It Had Better Be Tonight (Meglio Stasera)
03. Me and Mrs. Jones
04. I'm Your Man
05. Comin' Home Baby (duet with Boyz II Men)
06. Lost
07. Call Me Irresponsible
08. Wonderful Tonight (duet with Ivan Lins)
09. Everything
10. I've Got the World on a String
11. Always on My Mind
12. That's Life
13. Dream



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「マイケル・ブーブレ / "Michael Buble"」http://ilsale.blog55.fc2.com/blog-entry-71.html
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gachopin

デビッド・フォスター、イヴァン・リンスというキーワードに惹かれてこのアルバムをゲットした一人です。わたくし。
総じて親しみやすい、というの言えてると思います。
ジャンルは関係ない、音楽家としての交流が境界線なく繰り広げられていくといいですよね。
by gachopin (2008-10-15 01:07) 

yk2

gachopinさん、はじめまして。
すみません、お返事たいへん遅くなりました(汗)。

フォスターとリンスをキーワードにして聴かれましたか。これをAORやFusion(リトナー→リンス)的なアプローチで手に取ってしまうと、ガッカリされる方が多いのかもしれませんが、gachoinさんはガッカリされなかったクチなのですね(^^。

マイケルはまだ若いですし、この先スタンダードばかりでなく、コンテンポラリなサウンドやリンスを始めとするブラジリアン・ナンバーを歌わせても面白そうですよね。まだチームを続けるのなら、フォスターが今後彼をどんな方向へ導いて、フレッシュな状態を維持してゆくのか、興味があります。個人的には、あり得ないでしょうけど、グレイドンの手掛けたマントラみたいにAOR/Fusionっぽいフォスター&マイケルも聴いてみたい気がしますネ(^^;。

by yk2 (2008-10-23 23:14) 

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