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アン・サリー / "VOYAGE" [和ジャズ&フュージョン]

Ann Sally

Artist : Ann Sally
Title : "VOYAGE"
Release : 2001
Style : Adult Contemporary / Jazz (female vocal)
jazzっぽさ・・・★★★☆☆ (3/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ


 初めてアン・サリーを聴いたのは、いつも通うBARのカウンターでの事だった。

 不意に流れて来たジョニ・ミッチェル“ALL I WANT”のカヴァーを聴いた途端、本当にざざっと鳥肌が立ってしまったのを、今でもとても良く覚えている。元々この曲が大好きだってことも勿論あったけど、なんて素敵な声でジョニを歌う女性なんだろうと感激してしまったから。ひたすらに優しく届く、凛とした美しい歌声。彼女の声に、これ以上もう余計な形容は何も要らないよね。

◇Ann Sally's official web site : http://www.annsally.org/




 「このジョニ・ミッチェルのカヴァーを歌っているのは誰なの?」
カウンターの内側のオーナー氏にすかさず尋ねて、この今かかっているディスクのケースを手渡して貰った。真っ白い背景に微笑む、ヴェリー・ショートの色白な女性が写るフロント・ジャケット。それがアン・サリーのデビュー・アルバム『VOYAGE』だった。


 ②の“ALL I WANT”だけでも、既に絶対手に入れなくちゃ!と思ったけれど、それに続くボッサ③での柔らかな空気。クラリネットの音色がとっても温かい。こんな音に触れながら飲むお酒って、とっても美味しいんだな~、などと思ってたら、④は今の気分そのものズバリにヘンリー・マンシーニの「酒とバラの日々」(笑)。そして名手トゥーツ・シールマンスのハーモニカに導かれて始まったのは、これまた大好きなイヴァン・リンスの⑤。この曲は、クインシー・ジョーンズの大ヒット・アルバム『THE DUDE / 愛のコリーダ』に収められている美しいナンバーで、クインシー・ヴァージョンはハーモニカがメインのインストとなっているんだけど、演じるプレイヤーはなんと、どちらも同じトゥーツ・シールマンスその人。音源をお持ちの方は聴き比べをしてみるのも面白いかも。
 声も好みなら選曲のセンスも好い。これはほんとに良いヴォーカリスト知っちゃったなぁ~と心から感心していたら、お次で更におったまげてしまったんです、ワタクシ(笑)。だってあーた、⑥はSEAWINDのCTI時代にレコーディングした、知る人ぞ知る名曲“HE LOVES YOU”ですよ、これ!。ここまでの流れとちょっと趣を変えたブラジリアン・フュージョンタッチで、全編にローズの甘い音色が散りばめられて・・・。もう何にも言えないくらいに陶酔。これ、絶対にAORファンに聴かせたいよね~。

 以降もチャップリンの⑧、マルコス・ヴァーリの⑨をブラジリアン・フレイヴァーたっぷり聴かせてくれる。因みに、気持ち好く鳴ってるガット・ギターだなぁ~とクレジットを見てみれば、両曲とも日本のボサノヴァ第一人者・中村善郎のプレイ。さすが!。

 そして最後は再びジョニのカヴァー、大名曲の⑩はピアノ+ウッドベースをバックにしっとりと。アンの声はほんとに透明で瑞々しくて、特にファルセットの辺りで若い頃のジョニの声を彷彿させる。そして、優しく心地良い、静かな余韻と共に迎えるエンディングで、アンと巡る音楽旅行(=voyage)の第1章は幕を閉じる。

 好きなアーティストのカヴァーが何曲も散りばめられているから、確かに僕の場合には全くこれらのアーティスト達の楽曲を知らない人よりも、一聴で感激する要素がとても多いアルバムだったんだろうなとは思う。けれども、それを差し引いても人に薦めたい、素晴らしいアルバム。


 何でもかんでもすぐ「癒し」と云う言葉で簡単に片付けたり、一括りにまとめてしまう昨今の風潮はあまり好きじゃないけれど、確かに僕もこのアルバムを聴くと心が安らぐし、穏やかな気持になれるのは間違いのない事実のよう。だから、もしあなたが、聴く事でそんな気持になれる音楽をお求めならば、是非、手に取ってみて欲しい。「音楽」と云う、人それぞれに趣味感覚の違うものに点数を付けるのはどうかと思うけど、僕にはここから減点して行く要素が何ひとつとして思い浮かばないくらいなんだから。




ヴォヤージュ ヴォヤージュ
アン・サリー (2001/10/24)
ビデオアーツ・ミュージック

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01.O BARQUINHO
02.ALL I WANT
03.EMOLDURADA
04.THE DAYS OF WINE AND ROSES
05.VELAS
06.HE LOVES YOU
07.MIDNIGHT AT THE OASIS
08.SMILE
09.THE FACE I LOVE
10.BOTH SIDES, NOW

■Musicians
Ann Sally (vo), Toots Thielemans (harmonica on #5), Yoshio Nakamura (ag), Shigeharu Sasago (ag), Oh Akioka (cavaquinho,bandolim), Kazuyuki Miyauchi (ag,eg), Satoshi Ishikawa (per,cajon), Kichiro Komobuchi (electric&wood bass), Hirokuni Korekata (eg), Fabian Reza Pane (p), Hiroyuki Namba (ep), Steve Sacks (flute, clarinet), Tetsuya Kuwayama (accordion) Takahiro Mori (eg)

録音日記載無し リリース:2001年

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