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マリオ・ビオンディ / "HANDFUL of SOUL" [jazz / Male Vocal]

Handful of Soul


Artist : Mario Biondi
Title : "HANDFUL OF SOUL"
Release : 2006
Style : Jazz (malevocal)
jazzっぽさ・・・★★★☆☆ (3/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ

 僕のお気に入り、イタリーのゴキゲンなバップ・グループ、ハイ・ファイヴ・クインテットが全面的に演奏を担当するヴォーカル・アルバム。主役のヴォーカリストは身長2mを超すと云うシチリアン、マリオ・ビオンディ。バリトン・ヴォイスで聴かせる歌はいぶし銀のレア・グルーヴ・ナンバー。70年代のブラック・ミュージックやジャズ、ブラジリアンのフレイヴァー薫るそのクロス・オーヴァーな肌触りは、さすがの曲者ルチアーノ・カントーネ率いるSCHEMA(スケーマ)・レーベルならではのセンス。それに、クラブ向けのプロダクトで知られる同レーベルとは云え、本作は全編打ち込み無しの人肌人力グルーヴなので妙な「作り物」感は一切無し。コイツはかなり渋くてカッコイイアルバムだよ。




 諸手を挙げて絶賛してしまうと「ダミ声のオトコの歌なんて、暑い夏にゃ聴きたくない」なんて、つれない意見も一部から帰ってきそうなので(笑)、控えめに、クールにお薦めしたいヴォーカル・アルバム。

 聞くところによると、この作品はイタリア本国ではかなりの評判となっているらしく、この手のジャンルの作品としては異例のヒットを記録しているんだそう。しかし、僕はやはりハイ・ファイヴ・クインテット経由の情報として知ったものだから、マリオ・ビオンディに関する知識は一切無し。

 そんなわけで、バックの演奏は別として、ヴォーカルや楽曲には全く先入観無しの状態で聴き始めてみたのだが、1曲目ですぐに「あれ?」と思った。この曲、聴いたことがあるよ、アレンジもよく似てるふうだし・・・。フレッド・ジョンソンのアルバムに入ってた曲じゃん!。

 ここではフレッド・ジョンソンについての詳しいことは省くけど、要はこの曲、全然ヒットはしなかったくせに、レア・グルーヴ系ファンの間では知る人ぞ知るマニアな1曲で、ちょっと前にその曲を収録したアルバムがP-VineレコードからCDでリイシューされていた為、それほどそっちのマニアでもない僕の耳にまでも届いて来ていたと云うワケ。

 なるほど、どうやらマリオ・ビオンディやルチアーノ・カントーネもフレッド・ジョンソンを聴いていたようだ。⑧で取り上げられているスタンダード、“On A Clear Day”もそのアルバムで取り上げられていたナンバーだったからね。要は、あんな雰囲気を標榜しての作品コンセプトと云うわけなんだろう。

 このアルバムは全12曲(日本盤はボーナス・トラック3曲が追加)が収録され、内訳はスタンダードなどのカヴァー・ナンバーが7曲、後は書き下ろしと思われる(?)イタリア人ソングライター作の5曲で構成されている。

 ②ではメランコリックなメロディーを持つボッサがごくごく自然に、サラリと演奏されるのだが、ハイ・ファイヴ・クィンテットの奏でるメロウなトラックをバックにすると、マリオの無骨なバリトン・ヴォイスは一層切なく聞こえるから不思議。

 ③では一転、バリー・ホワイト的なストリングス・サウンド(ただ、妙にライブ感が無くサンプリングっぽい音)が効果的に用いられたスペイシーでドライヴ感に溢れた気持ちの良いアップ・テンポ。敢えて醸しだしているフェイク70年的なムードが面白い。ゲストのジャンルカ・ペトレッラのトロンボーン・ソロは爽快この上なし。

 ニコレット・ラーソンランディ・クロフォードなどのカヴァーによりAORファンには馴染みの④は、この曲としては珍しく早めのリズムでのサンバ・スタイルが採られ、パーカッションが全編に渡りブラジリアンなムードを盛り上げる。

 ノリの良い曲が2曲続いた後は、ボッサ調のムーディなバラッド⑤でスロー・ダウン。ヘンリー・マンシーニ作のメランコリックな愁いを含んだメロディを静かに歌い上げるマリオの歌に、寄り添う様に絡むダニエーレ・スカナピエコのテナー、ファブリッツオ・ボッソのトランペット・ソロが大変に美しい。
 
 以降、後半は手抜きして簡単に済ましちゃうけど(^^ゞ、⑥のタイトル・チューン、再びグル-ヴィーな⑦とイタリア人ソング・ライターのペンによる楽曲が続く。アルバムの構成を意識してか、その後の⑧、⑨とリラックスしたムードのジャズ・チューンでスイング。⑪は70年代に活躍したリチャード・“グルーヴ”・ホルムズ(Richard Holms)と云うジャズ・ファンク系のオルガン・プレイヤーのカヴァー。ラスト⑫はビル・ウイザースのカバーでしぶ~く締め括られる。




 もし、この声質(=ダミ声系のコト)に違和感を持たないのなら、このアルバムは大変な掘り出し物かも知れない。かく言う僕は元々バリー・ホワイトやテディ・ペンダーグラスなどの渋い声質は嫌いじゃないし、何より最近、こんなにもブラック・フィーリングたっぷりのジャズ系男性ヴォーカルには、ケヴィン・マホガニーくらいしかお目に掛かれず、かなり本気で淋しく感じていたくらいだったから、マリオ・ビオンディとのこの出会いはかなり嬉しい。アメリカはすっかりこのカテゴリーのアーティストの作品をリリースしてくれなくなっちゃってるからね。

 やっぱり、現在のジャズは、それも個性的で面白い作品はアメリカよりもヨーロッパから、なんだよねぇ・・・。


試聴はこちらから

※↓国内盤は#13~15曲がボーナス・トラック

ハンドフル・オブ・ソウル ハンドフル・オブ・ソウル
マリオ・ビオンディ&ザ・ハイ・ファイヴ・クインテット (2007/07/25)
キングレコード

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01. A Child Runs Free
02. No Mercy For Me
03. This Is What You Are
04. Rio De Janeiro Blue
05. Slow Hot Wind
06. A Handful Of Soul
07. Never Die
08. On A Clear Day (You Can See Forever)
09. Gig
10. I Can't Keep From Crying Sometimes
11. No Trouble On The Mountain
12. I'm Her Daddy

■Musicians

Mario Biondi : vocal

Sandro De Bellis : percussions
Gianluca Petrella : tronbone on #3

The High Five Quintet

Luca Mannutza : piano
Fabrizio Bosso : trumpet and flugelhorn
Daniele Scanapieco : tenor sax
Pietro Ciancaglini : double bass
Lorenzo Tucci : drums




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