ハイラム・ブロック / "TOO FUNKY 2 IGNORE" [Adult Contemporary]
Artist : Hiram Bullock
Title : "TOO FUNKY 2 IGNORE"
Release : 2006
Style : Funk / Rock (guitar)
◆jazz度数・・・★★☆☆☆ (2/5p)
◆お気に入り度数・・・ ※最高は5つ
◆Situation・・・
相撲取りのように肥えてしまった巨体を顧みず、客席のテーブルの上を因幡の白ウサギよろしくピョンピョンと・・・どころか、ドス~ン、ドス~ンと地鳴りを上げて渡り歩くなど、すっかりハチャメチャなおデブキャラ(笑)が定着してしまった感のあるハイラム・ブロック。
99年頃から数年間、彼が来る度にBlue Note Tokyoに足を運んだ僕だけど、ここのところの彼の作品にはイマイチ乗り切れていない。過敏にFusion色を排除しようとしたあまり、勢いロック方向に偏ってシフトを切り過ぎているように思えてならないからだ。
そんな彼の2年ぶりの新作『TOO FUNKY 2 IGNORE』が発表になった。さぁて、今度の新作の中身はどうなのよ?、ハイラム!。
その昔、デイヴィッド・サンボーンのバンドにいた頃はすっきりスリムで、華麗に軽やかにステップを踏みながらギターを弾く彼は、本当にファンキーでかっこいいギタリストだった。それなのに今は・・・(苦笑)。
ハイラムとは仲の良い音楽ライターの工藤由美さんには、すっかりイジられ役とされているようで、そんなふうにいぢめられてる記事を微笑ましく読むのも、それはそれで楽しいのだけれど、ここまで肥大化(笑)が進むと今度は彼の体が心配だ。いや、体も心配だけど、毎年恒例となっていた6月のBlue Note公演が今年無かったのは、ついに彼の体重が行くところまで行ってしまい、テーブルが悲鳴を上げて幾つも壊れて(壊されて)しまったからだとか、店のホール・スタッフ全員が「怖くてもう見てられません!」ってブッキング担当さんに陳情したとかしないとか、ファンの間でまことしやかに語られているんだよ。そっちこそ心配だ。多分みんなウソだと思うけど・・・(笑)。
さて、冗談は置いておいて新作のお話。
今作は全曲歌モノです。正直に言うとちょっと淋しい。そんなにギター・インスト弾きたくないんかい・・・(苦笑)。
「TOO FUNKY」ってタイトルで謳っちゃうくらいだから、泥臭いロック色は薄いのかと想像していたけれど・・・。これは僕の思い込みが強いせいだから仕方ない。今のハイラムにサンボーンの“CHICAGO SONG”のノリを求めてもダメだって解ってはいるんだけどねぇ・・・(苦笑)。結果、結構イナタくRockしてるよ。Funkyって言葉は、JB''Sのそれを思い出して頂ければ間違いは無しかな。
ただ、吹っ切れたように唄もギターも気持ち良く暴れてるので、彼の音楽にとって重要な「痛快度」は誰の耳にも戻って来ているように感じるはずだ。彼の近作の中では一番気持ち良くドライヴしているのは間違いないだろう。
この際、ウルサイ曲はほっといて(笑)、おすすめは終盤の2曲。
毛色の違うトロピカルなムード漂う⑪はラテン・テイストたっぷりのメローなミディアム・チューンでAORファンも楽しめそう。
彼の曲では“ANGELINA”が好き、ってセンスの方にはちょっぴりセンチメンタルな⑫を。このアルバムにリッキー・ピーターソンは参加していないけど、彼が関わっているのかとつい思ってしまうような1曲だ。(コーラス参加のジェイソン・ピーターソンって彼の兄弟?。)ハイラムの弾くスチール・ストリングスの生ギターもランディー・ブレッカーのフリューゲルホーンのソロの音色も、なんとも切なく迫って来る。こんなハイラムがもっと聴きたいんだよ~!!!。
彼がなんと言おうと、僕は80年代後半のATLANTIC諸作の頃の彼が大好き。もっとFusion 的な楽曲をプレイするようにと言うレコード会社の方針もあってか、彼はこの頃の作品を不本意な部分もたくさん有ったと語っていたけど、そんなの後で聞いたハナシ。全般ファンキー、インストはクール、適度にロック、バラッドはまるでAORのそれのようにメロー。そんなハイラムの音楽のバランス感覚が頭に染みついているんだ。だから彼がやりたいように、例えばロックっぽい歌モノばかりに作風をシフトさせてしまうと、つらい。かなりツラい。1曲1曲に文句は無くても、それをまとめてアルバムとして、ハイって提示されると楽しめなくなっちゃう。
※↓コイツはその時代、一番僕が好きだったアルバムで前述の“ANGELINA”収録。
今作も全曲歌モノだから、タイプとしては僕にはキツいのかなぁ、なんて少々不安もあった。でもこれはそれなりに楽しめたよ。ここのところ運転中もよく聴いているし。これでクールなインストが2~3曲挟まっていると、本当に文句なし。次作は是非そうして欲しいよ。やりたい音楽を心のままに演奏するのも彼にとって大事なことかも知れないけど、ファンが望む事との折り合いも、やっぱりちょっとは考えて欲しいんだな。
トゥー・ファンキー・トゥ・イグノア ハイラム・ブロック (2005/10/21) ビクターエンタテインメント この商品の詳細を見る |
◆Hiram Bullock's web site : http://hirambullock.com/
01.GIVE 'EM THE ROCK
02.EVERYTHING YOU DO
03.MR. BROWN
04.YOU'RE NOT WHAT U SEEM
05.IF YOU DON'T MEAN IT,DON'T SAY IT
06.TOO FUNKY 2 IGNORE
07.SHINE THE LIGHT
08.GET IN THAT KITCHEN (AND MAKE ME SOME CHICKEN)
09.HANG ALL NIGHT
10.GIMME THE NIGHT
11.QUIERO EL SOL Y LA PLAYA
12.MISSIN' U TONIGHT
■Musicians
Hiram Bullock (vo,g,key)
Dave Delhomme (key)
Frank Gravis (b)
Jeremy Gaddi (dr,vo)
Randy Brecker (tp)
Eric Behrends(a-sax)
Donny McCaslin (ts)
Charey Drayton (dr,g,b,)
Jason Peterson (as)
Katreese Barnes (lead & backing vo)
Marilyn Kleinburg(b-vo)
Nut Burn (rap)
Steve Wolf(dr-programming)
Peter Kikidakis (ts)
Jeff "TAIN" Watts (dr)
Claudia Acuna (b-vo)
MarkQuinones (per)
Lou Soloff (tp)
Will Lee (b)
Clint DeGanon (dr)
Produced by Hiram Bullock
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