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サラ・ガザレク / "YOURS" [jazz / Female Vocal]

yours

Artist : Sara Gazarek
Title : "YOURS"
Release : 2005
Label : NATIVE LANGUAGE
Style : Female Vocal (jazz / Adult Contemporary)
jazzっぽさ・・・★★★★☆ (4/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ

Sara Gazarek's web site : http://www.saragazarek.com/

初めに前もって云っておきます。ジャケ買いです。
店頭でちゃんと試聴もしましたが、ジャケ買いです。
彼女の目ヂカラに負けて、ジャケ買いです・・・ってしつこいね。




 ダウンビート誌の学生音楽賞で2003年度の最優秀大学ジャズ・ボーカリスト賞に選出された期待の新星、サラ・ガザレックのデビュー・アルバム。まだ23歳ととっても若い彼女と、彼女を支える同世代トリオ(ピアノ、ベース、ドラムス)が織りなすフレッシュなジャズ・ヴォーカル・アルバム。名義はあくまでもサラ単独だけど、ずっと一緒に活動しているという若い仲間達の紡ぎ出すグルーヴはあたかも4人組のバンドの様だ。

 プロデューサーはベテラン・ベーシストのジョン・クレイトン。彼とこのアルバムでもミックスと録音を手掛けた御大アル・シュミットとのコンビはディー・ディー・ブリッジウォーターなど正統派ジャズ・ヴォーカルの大物も手掛けており、この起用を見てもサラのデビュー作にかける期待の大きさが理解出来よう。とは言え、このアルバムも100%純粋培養のジャズ・ヴォーカル作品ではない。「適度にjazz、適度にpops」な作品だ。コンテンポラリな味わいのオリジナル作品やビートルズ、ジョニ・ミッチェルのカヴァーを半分、スタンダードを半分といった、「最近の売れ筋」の主流に則った構成になっている。




 このアルバムで僕のお薦めは断然、スタンダード。捻りを利かせたアレンジで新味を加え、若さと勢いでグイグイと聴き手に攻め込んでくる。その典型が①。新人女性ヴォーカリストの挨拶代わりのオープナーとしては、なかなかに見事な切り込み方で、ワルツで心地良く乗せたかと思うとピアノ・ソロの途中から一転、スインギンなアップテンポにリズム・チェンジ。初めて耳にしてこの1曲で早くも彼女らの演奏にノックアウトされてしまう方も少なくないのでは?。

 因みに主人公であるサラの声はというと中音域の正統派的でクセのないタイプ。冷たくはないけど、どちらかと言うとさらりとクールな部類に入る歌い方だと僕は思う。
 
 ②と③はグッとテンポを落として、前曲で見事なソロを聴かせたピアニスト、ジョシュ・ネルソンのオリジナル。さらっとした肌触りの②はコンテンポラリな仕上がりのバラッド。③はピアノの響きも美しいセンチメンタルなバラッドで、ベースが弓を使っていることもあり、ヨーロッパ的な趣もある。僕はこの曲の雰囲気でちょっとキアラ・シベロを思い出した。

 ④は僕の大好きなコール・ポーター・ナンバー。残念ながら「I die a little」の「die」を「cry」に歌い替えちゃってるのが少々気に入らないんだけど、まぁいいか・・・(苦笑)。彼女以外の歌手もここの部分は詞を替えて歌うことも多々あるしね。
 僕はこの歌の「さよならを言うたびに、わたしはちょっと死んじゃうの」ってオンナノコが歌うのは、とっても可愛くて好きなんだけどな。直訳し過ぎは分かってます!ってば(笑)。

 ⑤は再びアップテンポでグイグイと。このアレンジでかなり演奏し馴れているようで抜群に安定しているし、何よりバックが巧い。ベースのErik Kertes(発音が分からないのです^^ゞ。オランダ系?)をフューチャーした導入部、爽やかにラテンを匂わせるピアノのバッキング、素晴らしいソロは本当に見事なプレイ。完全に「グループ」の演奏。これに乗るサラも勿論素晴らしい。個人的な好みで言うけど、サラの現在のベスト・パフォーマンスが引き出されるのは、絶対にこの手のアップテンポじゃないのかな。

 ⑦はレノン&マッカートニーの“Black Bird”とスタンダードの“Bye Bye Blackbird”のメドレー。誰かがやってそうでやってない?、ベタなBlack Bird繋がり(笑)なんだけど、これが結構良く出来ていて面白い。サラは抑え気味のクールな歌唱でポップ・フィールに傾ききらないようコントロール。

 ⑧は最近若手にとみにカヴァー、リスペクトされているジョニ・ミッチェルのナンバー。ポップスとジャズ垣根を簡単にひょいと飛び越えてしまったジョニは、やっぱり若いサラ達のような世代には憧れの対象なんだろうね。幾ら友人同士とはいえ、ジャコ・パストリアスとパット・メセニーを一緒にバック・バンドに入れてツアーで連れ回すなんて、今にして思えばほとんどもう伝説だもんな~。憧れて当たり前か(笑)。サラはごく自然に、捻らずにメロディーをストレートに歌っている。




Sara


 このアルバム、大手CD店でも良い具合に推奨盤としてプッシュされてる。だから結構それなりに売れてそうな気もするな。でも僕の評価はちょっと割れ気味なのだ。スタンダードに関してはかなり良い点を上げられるんだけど、自作曲を含めてコンテンポラリなナンバーがちょっと平坦なイメージしちゃうかなぁ・・・。悪くはないけど特に強い印象は残らなかったんだな。1枚目から贅沢は云えないけど、この辺は今後の課題でしょう。

 しかし話は飛ぶけど、相変わらず目に付くのが寸評に見られるノラ・ジョーンスの名前。いい加減にジャズをベースとしたジャンル横断型の若い女性ヴォーカリストに対して、何でもかんでもノラ・フォロワーって言葉を使って原稿の字数を埋めるのは止めて貰いたいよね~、レヴュアーの人も。他に形容が浮かばないのかな?。




下のジャケット・フォトをクリックすると試聴可能なAmazonのサイトが別ウインドウで開きます

Yours Yours
Sara Gazarek (2005/08/23)
Native Language

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01.My Shining Hour (Harold Arlen / John Mercer)
02.Yours (Josh Nelson)
03.Amazing (Josh Nelson)
04.Ev'ry Time We Say Goodbye (Cole Prter)
05.Cheek to Cheek (Irving Berlin)
06.You Got By (Sara Gazarek / Erik Kertes)
07.Blackbird/Bye Bye Blackbird
(Lenon & McCartney / Mort Dixon / Ray Henderson)
08.Circle Game (Joni Mitchell)
09.All or Nothing at All (Arthur Altoman / Jack Lawrence)
10.Too Young to Go Steady (Harold Adamson / Jimmy McHugh
11.You Are My Sunshine (Jimmie Davis)

■Musicians
Sara Gazarek (vocal), Josh Nelson (piano), Erik Kertes (bass), Matt Slocum (drums)
Produced by John Clayton,Jr.
Recorded and Mixed by Al Schmitt


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