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マイケル・ブーブレ / "Michael Buble" [jazz / Male Vocal]

Buble

Artist : Michael Buble
Title : "MICHAEL BUBLE"
Release : 2003
Style : Jazz (malevocal)
jazzっぽさ・・・★★★☆☆ (3/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ

 新作「IT'S TIME」がリリースされ、輸入盤の方はとっくに売り出されていると云うのに、何故か国内盤の発売が4月16日から「夏頃の予定」にまで延期されてしまったマイケル・ブーブレ。待ちきれなくて、何度も店頭でその輸入盤を買ってしまおうかと手には取るのですが、この延期ってなんだか日本向けのボーナス・トラックのせいでは?、などと勝手に想像してしまい、結局は未だに買えないままでいます。

 1ヶ月くらいなら兎も角、2ヶ月も3ヶ月も国内盤に限って延期だなんて、特別な追加トラックでも録音してるのかな~、なんて思っちゃいますよね、普通は。




 今さらとは思いますが、ちょいと彼のバイオグラフィをライナーからおさらい。

 マイケル・ブーブレはカナダのヴァンクーヴァー生まれ。1975年生まれの今年ちょうど30歳。彼の祖父がジャズが大好きで、おじいちゃんっ子だった彼はその影響を受けて様々な音楽と出会いシンガーを志します。中でも30年代から70年代にまたがり活躍した理髪店の4人兄弟のハーモニーグループ、ミルズ・ブラザーズを聴き、そのロマンティックな歌詞に魅せられ夢見心地を味わい、「歌はこうあるべきだ!」と悟ったんだとか。

 17歳でプロになることを決意し、カナダのタレント・オーディション番組に出場すると見事優勝。その後ミュージカルなどにも出演してアメリカ各地を公演するなどパフォーマーとしてのキャリアを積み、2001年にインディーから初のアルバム『BURBLE』を発表し歌手デビュー。翌02年には続けて2ndアルバム『DREAM』をリリースするなど確実にキャリアアップして行きます。

 そんな或る日、マイケルはカナダの元首相であるブライアン・マルルーニーの娘の結婚式で歌を披露する機会に恵まれます。歌うはサッチモやエラ・フィッツジェラルドの名唱で知られる“マック・ザ・ナイフ”。この日のパフォーマンスが彼の人生にとって大きな転機となりました。この場に居合わせた、カナダ出身であり、きっての大物プロデューサー、デヴィッド・フォスターがマイケルの歌に大感激。セリーヌ・ディオン始め、同郷の若いアーティストへの助力を惜しまないデヴィッドは自己所有のレーベル、143 Recordsでマイケルと契約。単に狭義のジャズと言う世界に留まらず、ポピュラー・フィールドにも訴求力を持たせるといった、大ヒット・メイカーのフォスターならではセールス戦略の基、発表されたのがワールドワイドでのデビューアルバムとなったこの『MICHAEL BUBLE』だったのです。
 
 以下、楽曲のご紹介。
“FEVER”
 ブライアン・ブロムバーグのウッド・ベースからスタートし、次第に様々な音が重ねられて行く。ダルに、ちょっとワイルドなイメージを意図したここでのマイケルのボーカルには、初めて耳にした時にはプレスリーを思い浮かべさせられた。リーリトナーのサウンド・デザインで売り出し中のヨーカム・バン・デル・ザークが担当するプログラミングが、このよく知られたスタンダードをモダンに彩る。マイケル・トンプソンのギターも、「らしくない」50's調で、ビグスビー付きのグレッチが似合いそうな音色。クールに低く、静かに始まったこの曲は次第に「熱=FEVER」を帯びて、ぐっとさらに熱く盛り上がって行く。
“MOON DANCE”
 1曲目のイメージをそのまま引き継ぐテンポとサウンドで「ムーンダンスをもう一度」と熱くマイケルが迫る。添えられるホーンとストリングスのサウンドの豪華な厚みは、やはりメジャー・レーベルならでは。と言うより、プロデューサー、D・フォスターならではのふんだんな予算のお陰かな?。何ともきらびやかで見事なビッグ・バンド・サウンドにグッっと引き込まれてしまう。シャウトするブーブレの声の何ともオトコっぽいことに感心していると、今度はエンディングの囁く様に甘く歌う彼の感情の抑揚にすっかり聴き惚れてしまう。巧い!。
“KISSING FOOL”
 すっかり熱くさせられたところで、今度はあま~くスロウ・ダウン。でも決してクール・ダウンじゃなくて、心地良い高揚感は保たれたままだ。ジョージ・マイケルのカヴァーだそうだけれど、そうと知らなければなんとも素敵なスタンダードだと思ってしまいそうなアレンジに拍手。
“FOR ONCE IN MY LIFE”
 #③のビッグ・バンド・サウンドをそのまま引き継ぎながら始まるこの歌はトニー・ベネットのオハコだそうな。そう思って聴くとスケールの大きな朗々とした歌い方は確かにトニーのようでもあるね。それにしても、うぅ~ん曲の並べ方もさすが。
“HOW CAN YOU MEND A BROLKEN HEART”
 ちょっと毛色を変えて、アコースティックギターの音色に乗せてビージーズのバラッドを。ゆったりと甘く、切なさを噛み締める様に歌うマイケルの声は、ここではまるでメル・トーメを思い起こさせる。遠い思い出を振り返るイメージにぴったりの、どこか、心の中ずっと奥で鳴っているかのようなスチール・ギターの柔らかなヴァイブレーションと、本家ビージーズのバリー・ギブのファルセットのコーラスが何とも言えず味わい深い。
“SUMMER WIND”
 僕はフランク・シナトラをほとんどまともに聴いた事がない。でもこの曲がシナトラのカヴァーだとライナーで知らされる前から、ここでのマイケルの小粋な歌声は、誰が何と言おうとシナトラそのものだった。マイケルは自分が影響を受けてきたアーティストへの憧れを全く隠そうとしない。決して物真似でなく、自分のスタイルの中に彼らへの尊敬を滲ませるマイケルの歌に、僕は好感を持つ。大好きなおじいちゃんの隣で、並んでレコードを聴く幼き日のマイケル少年に思いを馳せると、何とも微笑ましい気持ちにさせられる。
“YOU'LL NEVER FIND ANOTHER LOVE LIKE MINE”
 ゲストの女性ヴォーカリスト、Sherree Fordとデュエット。彼女の声はどことなくシャンテ・ムーアっぽい(=好き<わし)。ひと気の無い南の島の海でふたり、小さなボートに寝そべりながら波に揺られてまどろむようなムードとサウンドが、ただひたすらに心地良い。こんなシチュエーションで「これから一生掛かっても絶対に見つけられないよ、僕みたいに君を優しく愛せる男なんてね」なんて甘く囁かれちゃったら、女性はイチコロなんだろうね(笑)。ルー・ロウルズのカヴァー。
“CRAZY LITTLE THINGS CALLED LOVE”
 一転して50'sロックンロール調にクィーンのカヴァー。フレディー・マーキュリーよりも更にプレスリーっぽさを全面に出した感じ。ディーン・パークスのこんなギター・ソロ、今まで聴いたコトありません(笑)。アメリカ人ってこーゆーの、とっても好きなんだろうねぇ・・・、ブライアン・セッツァーとかさ。
“PUT YOUR HEAD ON MY SHOULDER”
 何とも美しく優しい恋の調べはポール・アンカのカバー。如何にもオールド・ファッションなバラッドだけど、こう言う曲が誰にでも書けると思ったら大間違いの大名曲。そして誰もがこんなにも素敵に歌えると思うのも大間違い。マイケルをジャズ歌手と認めたくない頑固なジャズ・ファンの皆様に、現在、彼と同レベルにこの歌を歌いこなせる男性ジャズ歌手を是非とも教えて頂きたいものだ。
“SWAY” やっぱり現在のアメリカに於いてはラテン・マーケットも絶対に無視出来ません。嫌いじゃないけど、ちょっとムード歌謡っぽいかな(笑)。
“THE WAY YOU LOOK TONIGHT”
 ザ・レターメンのカヴァー・・・って言ってもレターメンなんて知りません(汗)。でも結構ジャズではカヴァーはされている曲で、最近ではケニー・ランキンも歌ってたっけ。ガット・ギター1本でこの曲を歌うケニーのライブはお洒落だったなぁ。マイケルのヴァージョンはボサノヴァでゆったりと。これまた豪華なストリングス付き。
“COME FLY WITH ME”
 またもや誰が聴いても、のシナトラ・ナンバー。この曲はほーんのちょびっとだけど、サンドラ・ブロックとヒュー・グラントのラブ・コメディー映画「TWO WEEKS NOTICE」で使われてます。それも結構笑える場面で(笑)。
“THAT'S ALL”
 僕はこの曲は『CRAZY AND MIXED UP』のサラ・ヴォーンのアップ・テンポのバージョンが好きなんだけど、マイケルはしっとりと美しく正当派のバラッドで。チェット・ベイカーばりの囁くように抑えたボーカルとストリングスが相まって、素晴らしい映画を見終わったかのようなエンディング。
“CAN'T HELP FALLING IN LOVE”
 日本盤ボーナストラックで、プレスリー・ナンバーを。

 もしもアタマの固いジャズ・ファンが、単にメイル・ジャズ・シンガーのアルバムをと思って、このアルバムを手に取ったなら、ちょっと違和感を覚えるでしょうね。ま、オーヴァー・ダブした時点でそれはもうjazzじゃーない!なんてキビしい方もいらっしゃいますから、世の中には(笑)。

 ちょっとしたモダンな味付けが、ジャズ・ファンからはポップ過ぎると思われちゃうところなんだろうけど、この微妙なさじ加減が「耳あたりの良さ、親しみやすさ」として売り上げを一桁も、下手すりゃ2桁も違わせちゃう大事なトコ。僕はジャズが一般性を持つ事に対して違和感も反感も全く感じないので、マイケルの歌う様な、分かり易くて親しみが持てる音楽が普通に「ジャズ」として世に広まって行くのは、楽しいし嬉しく思うな。

 今ジャズは、アメリカでも日本でもどんどんマイナー化が進んでしまって、まるで気難しい芸術家達の高尚な趣味の音楽のよう。そんなだから、当然ショービジネスとしても成立しにくくなっているんだそう。(よくアメリカのミュージシャンは、日本の方がよっぽどもジャズに対する状況は好いんだ、なんてインタビューで話してます。)

 こんな風だからこそ、アメリカでもマイケル・ブーブレみたいなシンガーが一般のショービズ界でスターになって行くことで、厳しいジャズに対する状況が、今後少しでも変わって行ったら好いのになぁなんて、ついつい考えてしまうのです。

 やっぱり、普通の人が普通に楽しめないと、裾野は決して広がらないですもんね・・・。

★国内盤(ボーナス・トラック有り)
マイケル・ブーブレ マイケル・ブーブレ
マイケル・ブーブレ (2004/01/21)
ワーナーミュージック・ジャパン

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※Michael Buble's Official Web Site :
http://www.michaelbuble.com/※ワーナーミュージック・ジャパン アーティスト・サイト :
http://wmg.jp/artist/michaelbuble/discography.html#top

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