SSブログ

Tom Scott Live2005@Blue Note Tokyo [ライブ・リポート]

Smokin’ Section


 10月26日(水)、トム・スコット&THE L.A. EXPRESSのライブを観に2ヶ月振りにBlueNote-Tokyoに出向く。GRP華やかなりし90年代の頃にはアルバムがリリースされる毎に彼の新譜を買っていたのに、スムース・ジャズ的色彩が濃くなって来てしまったここ数年はすっかりご無沙汰。彼の最近のサウンドと僕の好みの距離は少し離れてしまっている。それでもきっとライブなら違うはず。スムース・ジャズのフォーマットの制約なんて有るはずもなく、絶対に熱いライブ演奏が繰り広げられるに違いない!。そんな期待を込めて、いざ青山へ。

Tom Scott's official web site : http://www.tomscottmusic.com/ ※上記は音付きサイトです。
【SET LIST】 10/26/'05 (1st stage)
01.SMOKIN' SECTION
02.TOM CAT
03.PICK UP THE PIECES
04.GOTTA GET CLOSER TO YOU
05.SACK O' WOE
06.HIS EYES, HER EYES
07.ODE TO BILLIE JOE
08.STORMY MONDAY

Tom Scott & THE L.A. EXPRESS Tom Scott (sax),Greg Phillinganes (key),Mike Miller (g),Larry Kimpel (b),Will Kennedy(ds)





 Blue Note Tokyoのweb-siteにある公演ミュージシャンのそれぞれの紹介ページには、公演初日の翌日に前夜のセット・リストが載せられる。普段はネタバレしてしまうと新鮮味が薄れてしまう気がして、自分が出向く前にはそのリストは見ない様にしている。

 でも今回は勝手が違う。最近のトム・スコットの新譜を全く買っていない僕には、ひょっとすると100%知らない&覚えていない曲ばかりのライブになってしまうかも知れない。それはそれで楽しいのかも知れないけど、一応は僕もトムのアルバムを10枚近く持っているのだから、せめて自分の持っているアルバムの1~2曲くらいは予め演奏をしっかり頭に入れて行って、ライブとのアレンジの違いやソロのアプローチの変化も楽しみたいものじゃない?。

Tom Scott

 そこでポリシーを曲げて(そんな大げさなもんでもないか・・・笑)、今回は10月24日(月)のセット・リストの曲を全てチェック。持っている音源はリストの曲順に並べて何度も聴き直した。ただ、おそらくはカヴァーだろう、はっきりしない曲が8曲中半分も有って、⑤SACK O' WOEは事前にNet検索でキャノンボール・アダレイ、⑥HIS EYES, HER EYESはミッシェル・ルグランのナンバーではないかと目星をつけて聴けるものは試聴しておいた。だが、⑧STORMY MONDAYは曲名検索だとあまりに多くの作品が引っ掛かって判断着かず。④GOTTA GET CLOSER TO YOUについてはそれらしき楽曲がほとんど見当たらずに分からず仕舞い。これらは当日のお楽しみだね。過去の経験からして、リストにある曲の通りではないことも多々あるとは思うけど(そっちのパターンの方が多いかな・・・苦笑)。


 これが今回は正解だった。初めにタネあかしをしてしまうと、結果は全て月曜の曲順通りのステージだったのだ。①は1999年にWindham-Hillへ移籍してすぐにリリースしたアルバム『SMOKIN' SECTION』から同名のタイトルチューン。コイツでファンキーにライブはスタート。トムはテナーでのプレイだ。初めてライブで聴く主役のトムのプレイは一言で言うと端正なサウンドってトコかな。イエロージャケッツのドラマー、ウィル・ケネディーの歯切れの良いプレイにラリー・キンペルのぶりっとした粒のハッキリしたベース・サウンドが相まって何とも心地良い。

 ②は懐かしいアルバム『TOMCAT』(1975)からタイトル・チューン。トムはリリコン(EWI?)に持ち替えての演奏。今回唯一僕があまりよく知らないメンバーで、ギターのマイク・ミラーが朱色のストラトからフル・アコースティック・ギターに持ち替える。このフルアコのfホール、曲の初めには両方にハコモノ特有のハウリングを防止するためのカヴァーがfホールの形そのままに着けられていて、特に下側のものはそれがボディー面よりも浮いて見えていた。詰め物をしちゃうのはよくあるハナシだけど、これは面白いカヴァーだなぁ~などと思っていたら曲の途中でいつの間にか外れていたよ。どんな構造の「フタ」になってるんだろ?(興味津々・・・笑)。

 ご存じアヴェレージ・ホワイト・バンドの③はちょっと違うスタイルで、と言うトムからのコメントが事前にあったんだけど、これがなんとサンバのリズムによるラテン・スタイルでのアレンジ。正直ちょっと曲調に合ってないような・・・(^^;。それでも、この度TOTOに加入することと相成ったグレッグ・フィリンゲインズがピアノ・サウンドでソロにバッキングに大活躍。彼を見るのは初めてだったけど、クールでシャープなプレイヤーだなぁとの印象を強く持った。彼の参加が停滞ムード漂って久しいTOTOにより良く作用してくれると嬉しいんだけど。
 この曲では激しいソロ回しなどもあって、さすがに熱い盛り上がりをみせた。かなりのエネルギーを消費したらしく、演奏終了後のトムは息切れするゼスチャーを見せながら、「ありがとう、それじゃもう今日は帰るね」なんて具合におどけていたっけ。

 変わって④は、僕には故グローヴァー・ワシントンJrに捧げる「Brand-New Song」とトムが言っていたように聞こえたのだけど、間違っていたらごめんなさい(汗)。曲調はモロに『WINELIGHT』の頃のグローヴァーのサウンド。つまりはラルフ・マクドナルドの音そのもので、聴いてるこちらは思わずニンマリ。出来る事なら、この手の演奏をもっとたくさん聴きたかったかな。

 それというのも、この後キャノンボール・アダレイのナンバーである⑤の演奏に顕著だったのだけど、Go-GoとSWINGをミックスしたようなアレンジはいかにもアメリカの映画やTVショーのエンターテインメントの匂いがプンプンで、ちょっとばかり演出過剰(苦笑)。続く⑥もトムが初期のキャリアで初めて手掛けた映画音楽ナンバーと、非オリジナル作品だった。率いるバンドの名に「THE L.A. EXPRESS」を冠するならばこそ聴かせて欲しいオリジナルが他にももっと有るでしょう?、と思ってしまったのはきっと僕だけじゃないだろう。


 これはこの日のライブだけでなく、彼の90年代以降からのアルバムを聴いていても思うのだけど、トムは何でもそつなく高レベルで演奏出来てしまうから、色んなプレイを聴かせてくれる。でもその反面、トム・スコットらしさ、彼らしい演奏ってどんなだろうって改めて考えると特徴が浮かんでこない。10枚近くも彼のリーダー・アルバムを買って聴いていながら、何も思い浮かべられないのだ。それが僕がいまひとつトムにのめり込めない理由でもあり物足りないところだった。

 だけど、それもまたトムの人柄なのかなぁ・・・。
穏やかで人の善さそうな彼は、今、ひたすら目の前のオーディエンスが楽しめるよう渾身のプレイを繰り広げている。きっと、サックスというメロディ楽器を長くリーダーとして吹き続けている割には、「俺が俺が!」ってタイプの人じゃないんだろう。どちらかというと、全体をまとめ上げるビッグバンドのリーダー・タイプなんだろうな。何も個性が出しゃばることが全てじゃないんだ。トム・スコットの名前が前面に出てはいるけれど、これはもう絶対に「THE L.A. EXPRESS」って「バンド」のライブなんだよね。

 そう思うと、無理にでも今日こそはトムの個性を掴み取ろう、感じ取ってやるのだと必死になって聴いていた僕の肩の力は抜け、何も考えずにリズムに合わせて足を踏み、手を打ち、いつの間にか5人のメンバーの演奏にただただ夢中になっていた。

 好いバンドの良い演奏が聴けて、楽しい夜でございました。
次のアルバムも是非このメンバーで、人肌の温もりを感じさせる、熱い音にして欲しいな。願わくば、バジー・フェイトンのギターが唸る『SMOKIN' SECTION』のラストのライブ・トラック、“TCB IN "E"”みたいな・・・ね。




下のジャケット・フォトをクリックすると試聴可能なAmazonのサイトが別ウインドウで開きます

Smokin' Section Smokin' Section
Tom Scott & the L.A. Express (1999/04/13)
Windham Hill
この商品の詳細を見る



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。