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ローレンス・エルダー / “SURROUNDED” [Adult Contemporary]

Laurence Elder

Artist : Laurence Elder
Title : "SURROUNDED"
Release : 2006
Style : Adult Contemporary (male Vocal)
jazzっぽさ・・・★★☆☆☆ (2/5p)
お気に入り度数・・・ 
※最高は5つ


 たまには男性voアーティストも紹介しないとね(苦笑)。

 昨年秋の終わりくらいのリリース作品だったので、ちょっと今さら感も無くはないのだけど、一般市場ではほとんど気が付いて貰えていなかったんじゃない(?)ってくらい話題にならなかった、でもでもAOR系ファンへはかなりお奨め出来る1枚。主役のローレンスエルダーのボーカルはややアーシーな味わいで、ジャケットに写された伏し目がちなMiddle Manの哀愁漂うダンディズムはボズ・スキャッグスやスティングに近いテイストも滲ませている。ピーター・アースキン(dr)が参加している以外は特に有名どころのミュージシャンが参加していると云うわけではないが、サウンド、アレンジともかなりジャジー寄りで、そのレベルは高い。




 先ずはすぐに思いつく名前として、ボズやスティングのビッグ・ネームを挙げたけど、やや鼻に掛かった太めの声質と哀愁を帯びた歌い口、ピアノとオルガンをこなすキーボード・プレイヤーでAOR系と聞けば、デヴィッド・サンボーンの片腕として活躍したリッキー・ピーターソンを思い出す方も少なくないだろう。彼のファンキー度合いを薄めて、その分ジャジーにした感じの音楽、とでも喩えたらいいだろうか。ブルー・アイド・ソウル系AORファンの前に突然ふらりと現れた久々のニューフェイス(って、誰以来だよ・・・苦笑)。

※4月のレコメンドCDにした時はそんな話は知る由も無かったのだが、この度めでたく国内盤リリース(Pヴァインより)も決まったそうだ。

 
 さて、気になる曲を幾つか掻い摘んで取り上げて行くことにしよう。

 アルバムはタイトル・ナンバーの①で幕を開ける。こぼれる様な音色が清々しいピアノのソロ演奏からからギター、ベース、ドラムスと徐々に音が重ってゆくイントロは如何にもオープナーに相応しいAORチューン。リリカルなピアノ、ディレイを効かせたナチュラル・トーンのギター・アルペジオにそれぞれ相反するような個性のハモンドB3とブルージーなフレイジングのギターがアーシーな味わいを付け加えているのが印象的だ。
 リッキー・ピーターソンのイメージを重ねてしまった所為だろうか、ビル・ラバウンティの名曲“LIVIN' IT UP”をつい思い出してしまう。

 ジャズ度合いが高いと書くと、途端に敬遠するAORファンも居るので敢えて云っておくが、この作品の軸足はあくまでロック・サイドにある。1曲としてこれは完全なるジャズだ!と割り切れる楽曲はここには無い(それでも本当なら、僕の主観としてもジャズ度は3でもいいくらい高いけど)。この辺りはやはりかつてのスティングのアルバム『ブルー・タートルの夢』を思い出して頂くのが良いサンプルだろう。ブランフォード・マーサリスやオマー・ハキム・ダリル・ジョーンズらが参加してとてもジャジーなアルバムだったけど、あれはあくまでロック・フィールドに立脚したアルバムだった。
 このアルバムで一番にジャズ度が高いナンバーが②なのだが、クールに響き渡るソプラノ・サックスがまさにスティングとブランフォードの組み合わせを思い出させるものとなっている。

 ③はまたもやローレンスの美しいピアノ・ソロのイントロからナイロン・ストリングス・ギターがメランコリックな情緒を盛り上げるメロウ・ナンバー。

 ⑤はグッとテンポを落としたせつなめのスロウ・バラッド。彼自身の弾くピアノやキーボード類の他はフレットレス・ベースとドラムだけのスカスカの構成も情感たっぷりのヴォーカルでしっとりと聴かせる好チューン。

 再びジャズ度の高い⑥ではSTEPSなどでの活躍で知られるニューヨークのファースト・コール、ピーター・アースキンがドラムスを担当。ここでのローレンスはピアノで長めのソロを執りジャズ・ピアニストとしてのスキルも披露する。歌詞とも相まってなかなかに映像的な楽曲で僕の気に入りの1曲。

 ⑨はジャジーなブルーズと云った風情の曲なのだが、この手のアプローチがボズ・スキャッグスを思い出させる部分。またもやハモンドB3が活躍し黒さ倍増。但し、AORファンには好かれない典型なのかなぁ、この手が一番。僕は嫌いじゃないんだけどね・・・(苦笑)。




Surrounded サラウンデッド
ローレンス・エルダー (2007/06/20)
Pヴァイン・レコード

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01. SURROUNDED BY YOU
02. MANHATTAN
03. THE OCEAN
04. GOING HOME
05. WRONG
06. THE FALL
07. SO EASY
08. SING MY NAME
09. MIND HAS A MIND
10. WONDER
11. ROCKET MAN

All words and music by Laurence Elder


■musicians
Laurence Elder : vocal, piano, B3organ, keyboards
Carlomagno Araya :drums, percussion
Ramses Araya : data drums
Peter Erskine : drums
Javier Carrion : e-bass
Dan Warner : guitars
Jamie Ousley : acoustic bass
Paquito D'Rivera : soprano sax
Nicky Orta : e-bass
Gaby Vivas : fletless bass
Leo Quintero : guitars
Andrew Synowic : guitars
Golder O'Neill : e-bass
Beth Cohen : backing vocal

produced by Laurence Elder and Carlomagno Araya
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