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ファブリッツィオ・ボッソ / "FAST FLIGHT" [Jazz / instrumental]

FAst Flight


Artist : Fabrizio Bosso
Title : "FAST FLIGHT"
Release : 2000
Style : Jazz (trumpet)
jazzっぽさ・・・★★★★★ (5/5p)
お気に入り度数・・・

 イタリアでピカイチの若手ビ・バップ・グループHi Five Quintetのフロント・マン、トランペッターのファブリッツィオ・ボッソが2000年にリリースしたソロ・デビュー作。疾走するテクニカルなプレイでぐいぐいと攻め込みつつ、スロー・ナンバーでは一転、耳に心地良くクールに響くメロディアスなフレーズで聴き手を捕らえて離さない。王道ビ・バップのクセにダンサブルと云う類希な観点ではHi Fiveに譲るかも知れないけど、より純粋なジャズ作を好まれる方はこちらに軍配を上げるのではないだろうか。ムードばかりのヌルいトランペットに辟易してるあなたに聴いて欲しい、超強力ハイパーお奨め盤。




 フレッシュな勢いに溢れたファンファーレとも云うべきタイトル・チューン①はボッソのトランペットとロザリオ・ギウリアーニのアルトがよーい、ドン!で共に疾走を開始するテクニカルな高速ユニゾンによって幕が開けられる。ディスクをプレイヤーにセットした直後、プレイ・ボタンを押した途端に曲の終わりまでの3分間を、聴き手に息つく間も与えないほどに圧倒するのだ。初めてこの曲を聴いた時には、あまりにも一方的に畳み込まれてしまい、ただ、あんぐり。スッパリ終わるエンディングのその後に込み上げてくる爽快感と云ったら、それはもう新鮮な驚きだった。

 かと思えば続く②は一転、甘くも翳りあるメロディがムーディなミディアム・スロウ。丁寧にしっとりと聴かせる。

 僕はこの冒頭の2曲ですっかり降参。こんなカッコの良いアルバムが7年も前にリリースされていたのに、全く知らなかったなんてなぁ・・・(※僕が購入したのは1年前)。イタリアン・ジャズ恐るべし、だ。


 ボッソのバイオグラフィーは以前にも触れた(※参照→http://ilsale.blog55.fc2.com/blog-entry-12.html)のでここでは略すが、今日でこそ34歳となり中堅と呼ばれる年齢に差し掛かってきた彼(1973年産まれ)も、このアルバムをリリースした当時は27歳の若さだった。30過ぎても若手と云われ続けるジャズ界に於いての27歳は、「若干」と付けても何の違和感もない。

 それでもその当時から、勢いだけで押し通す事もなく、充分に聴かせるプレイが出来ていたのは、この頃彼がイタリアのトップ・プロとして既に7年もの確固たるキャリアを築き上げていたからに他ならない。2管による高速フレーズ・ソロの応酬だけで終始されていたなら、きっと早々にウンザリしてしまったことだろう。

 ところがボッソは様々なテンポの楽曲をバランス良く配置し、押すべきは押し、引くべきは引くいて全く飽きさせないのだ。僕は特に同じ傾向、テンポの楽曲が続くアルバムよりも、起承転結がちゃんと付けられた起伏有る作品を好む傾向があるので、この辺りもツボにハマった愛聴盤となっている理由の1つなんだろうな。


 ③はベーシスト、ジウゼッペ・バッシ作だけあってキャッチーなベース・ラインがメロディ的骨格を成し、その上をボッソのトランペットとロザリオのソプラノ・サックスが交互にクールで端正なソロを聴かせてくれる。

 ダンサブルなHi-Fiveのお好きな方にはフレディ・ハバード作④がお薦め。ファンキーなグル-ヴに肩が揺れて、いつの間にかつい腰も浮いてしまう(?)ハズ。

 続いて⑤はピアニスト、サルバトーレ・ボナフェーデのペンによるエキゾチックなバラッド。初めは静かに、そっとテーブルの下で触れたしなやかな指先がやがて激しく絡み返してくるかの様な情熱的でセクシーなナンバー。

 ライブで盛り上がりそうなボッソ自作の吹きまくりのアップテンポ⑥、リチャード・ロジャース作、爽やかな甘さ溢れるバラッド⑦に続く長尺2曲がこのアルバムのハイライト。再びロザリオとのユニゾン、ソロ合戦が展開されるスリリングな⑧、モンク作⑨はスピードや強弱にアクセントを効かせソロを回す。テクニカルなアプローチを取りつつもしっかりと歌うボッソのトランペットに聴き入れば、8分を超す曲の長さも全く気にならない程だ。



 残念ながら僕は未だ聴けていないのだが、今年の2月末にはニュー・アルバムもリリースされていたそう。やはり日本ではファブリッツィオ・ボッソの名が広く一般に通っているとは言い難く、僕がそのニュースに気付いたのもつい先日の事。彼は間違いなく、もっともっと知られて、話題に上って良い筈のアーティストだ。その新譜の出来には僕もとても期待しているので、今から手元に届くのが楽しみでならない。こちらもきっと追ってご紹介したいと考えている。




Fast Flight Fast Flight
Fabrizio Bosso (ファブリッツィオ・ボッソ)
Red

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※上記アルバムはジャケット違いで内容は同一です。

01. Fast Flight
02. Woman's Glance
03. My Life Express
04. Gibraltar
05. Actor & Actress
06. Minor Mood
07. Too Young to Go Steady
08. Brother's Song
09. In Walked Bud
10. Family Blues
11. Fast Flight-Take 2

■Musicians
Fabrizio Bosso : TRUMPET,FLUGELHORN
Rosario Giuliani : ALTO & SOPRANO SAXPHONES
Salvatore Bonafede : PIANO
Giuseppe Bassi : BASS
Marcelo Di Leonardo : DRUMS

録音1999年11月24、25日



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