マルガリータ・ベンクトソン / "I'M OLD FASHIONED" [jazz / Female Vocal]
Artist : Margareta Bengtson
Title : "I'M OLD FASHIONED"
Release : 2007
Style : jazz (female Vocal)
◆jazzっぽさ・・・★★★★★ (5/5p）
◆お気に入り度数・・・
※最高は５つスウェーデンの人気アカペラ・ユニット、リアル・グループを「卒業」したマルガリータ・ベンクトソンの満を持しての初ソロ作。美しくも親しみやすい彼女のソプラノ・ヴォイスで綴られる全10曲は、タイトル曲①"I'M OLD FASHIONED"を始めとした40年代ミュージカルや映画からのノスタルジーなスタンダードと２曲のジョビン・ナンバーから構成される。スウェーデンの実力派ジャズ・メンたちの奏でるサウンドは奇をてらうことなくオーソドックスな部類のものだが、ホーンのソロパートなどそこはかとなく漂う透明感とクールネスはやはり北欧ジャズのそれ。マルガリータの歌声はアップ・テンポの高音域ではちょっぴり線が細いかもしれないけど、それを補う歌の巧さと表現力はさすがにアカペラで鍛え抜かれた賜物。美しい人の美しい歌声で心地良く酔いたい方にお薦めしたい上質の１枚だ。
ヴォーカル・ソロで始まる①での美しく穏やかな歌声、華やかななストリングス・サウンド、バカラック好きも喜びそうな小洒落たホーンズ。曲のタイトル通り、耳に新しい物は何も無いのだけれど、あんまりにも美しいバランスに仕上がっているものだから、思わず冒頭からすっかり聴き惚れてしまう。
②はミステリアスなムード漂うアレンジの、いかにもクルトワイルらしい１曲で、マルガリータの甘くも抑制の利いたヴォーカルにヨアキム・ミルダーのテナー・サックス・ソロが不安定に、揺さぶり掛けるように絡む。
③はボサノヴァの定番とも云えるジョビン・ナンバー。アレンジも歌とサックスを絡めるゲッツ＆ジルベルト型のごくオーソドックスなスタイルで、マルガリータも囁く様に歌う。1stコーラス後のスキャットとユニゾンをとるフルートの奏者ヤン・ベンクトソンはマルガリータの兄。
⑤早口ヴォーカリーズがマンハッタン・トランスファーを思い起こさせるような楽しいナンバー。実際アルトで歌い始めて、まるでトランペット・ソロのように徐々に高音域へ盛り上げていくその歌声はシェリル・ベンティーンのパフォーマンスとイメージが重なる。タイトルの"TWISTED"とは、直裁に云えば「イカレてる」ってコトだそう。ゴキゲンだ（笑）。
イカレてハジケた後は我に返って後悔しちゃう、ってワケじゃないだろうけど、お次はしっとりとロジャース＆ハートのセンチメンタルなバラッド⑥で。ただ、ここではメランコリックに傾け過ぎずにあっさりと洒落たアレンジでむしろ軽やにも思える歌唱。ディケン・ヘドロニウスのトロンボーン・ソロが好い味出してます。
⑦日本盤ライナーにマルガリータ本人のコメントが有るのだけど、ここではチェット・ベイカーが歌うこの曲をイメージして歌ってみたのだとか。なるほど、僕の頭にもスモーキーで軽やかかつ甘いチェットのヴァージョンがすぐに頭に浮かべられた。ピーター・アスプルンドによるミュート・トランペットのソロも気分ばっちり！。
軽妙なタッチが続いたところで、一転、ストリングスをバックにゆったりとロマンティックに歌い上げられる⑧でのマルガリータのヴォーカルは本当に美しい。
リアル・グループが明るく楽しくて心がワクワクするような音楽だとしたら、マルガリータのソロはしっとりとした大人の女性のエレガンスに満ちたもの。リアル・グループのファンの方が今までの音楽イメージをそのまま持ち込むと、初めはちょっとばかり肩透かしの様な気持ちを味わうかも知れない。選曲もオーソドックスで地味な印象さえも受けるかも知れない。実際僕がそうだった。それでも１回２回と繰り返して聴く内に、いつの間にかしっくりと、心地良く歌声が耳に馴染んでゆくのが分かる。
こんなふうに徐々に染み込んで来るタイプのアルバムって、ずっと飽きずに聴ける愛聴盤になるケースが結構多いんだよね。これも、もしかしたら僕にとってそんな１枚になってくれるかも知れません。キレイな女性に弱い男性ばかりだけじゃなく、カッコイイ大人の女性を目指すオンナノコにも、是非聴いて欲しいな。
試聴はこちらをクリック↓http://www.spiceoflife.co.jp/sb_cd01_l.html
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01. I'm old fashioned 4:34
02. This is new 6:05
03. Corcovado 5:40
04. Once upon a summertime 5:49
05. Twisted 4:30
06. It never entered my mind
07. Like someone in love 4:08
08. Dindi 5:25
09. Someone to watch over me 6:20
10. Some other time 6:05
■Musicians
Peter Asplund (Trumpet)
Peter Fredman (Alto Sax)
Joakim Milder (Tenor Sax)
Dicken Hedrenius (Trombone)
Ove Lundin (Piano)
Calle Rasmusson (Drums)
Martin Sjostedt (Bass)
Jan Bengtson (Flute)
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→「ザ・リアル・グループ / "IN THE MIDDLE OF LIFE"」･･･http://ilsale.blog55.fc2.com/blog-entry-68.html
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