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エミリー=クレア・バーロウ / "WINTER WONDERLAND" [jazz / Female Vocal]

Winter Wonderland

Artist : Emillie-Claire Barlow
Title : "WINTER WONDERLAND"
Release : 2007
Style : jazz (female Vocal)
jazzっぽさ・・・★★★★☆ (4/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ


 ここ数年、有望なジャズ・ヴォーカリストを次々輩出するカナダから、また新たなるブライテスト・ホープが登場して来た。それも、またまた若い女性歌手(^^ゞ。本来なら、今年リリースされたその最新リーダー作『THE VERY THOUGHT OF YOU』あたりから紹介すべきなのだけど、季節柄、今回はこのクリスマス・アルバムを取り上げたい。個人的には、あまりこのクリスマスってヤツには良い思い出がないので(苦笑)、普段はこの手の企画物にはあまり食指を伸ばさないのだけど、今年はどうしても素通り出来ないような2作品に出会ってしまった。これはその内の1枚。クリスマスの企画アルバムなんて兎角ツマンナイもんだよなぁ・・・と決め付けてしまっているそこのあなた!。何は無くとも、このエミリー=クレア・バーロウ『WINTER WONDERLAND』は一度聴いてみた方がいいと思うよ~。




 ま、すぐ上ではああ書いたけど、クリスマス・アルバムなんて絶対にツマラナイもんだと、ハナから決め付けていたのは僕自身の事でもある。でも仕方無いんだよね。所詮は1年の内たった2~3週間しか聴かないワケだし、内容的にも、大抵は誰でも知ってるスタンダード的なクリスマス・ソングのオンパレードで、はっきり云って内容は薄く、オリジナリティの欠片も感じない金太郎飴の様な作品が多いのは紛れもない事実なんだから。レコード会社もジャズ風、レゲエ風、ボッサ風とアレンジで手を変え品を変え色々考えてはいるみたいだけど、毎年欠かさず何度も繰り返して聴いていたいと思わせる良質のアルバムなんて、すこぶる少ないものなのだ。

 そんなふうに斜に構えていた僕だから、最初に店頭でこのアルバムを見つけた時も、買おうだなんて、ほんの少しも思っていなかった。むしろ、エミリー・クレア・バーロウって日本じゃまだほんの一部のジャズ・ヴォーカル・ファンにしか知られていないと思うんだけど、もうこんな企画アルバム出しちゃうんだ、と(少々ネガティヴな意味での)驚きを感じたくらい。なーんにも期待なんてしてなかった。ただ、以前から良い意味で一聴ジャズ・シンガー向きとは思えない彼女の素直な歌い方、爽やかな甘さを持つ歌声には好感を持っていたので、取り敢えずは試聴機のヘッドフォンを手に取ってみた、ってワケ。

 ところがところが、聴き始めてみると、コイツがなかなかのもの。ストリングスだけをバックにゆったりと歌い始めるバラッドの①が好い雰囲気じゃない!。クリスマス・アルバムと銘打たれてるけど、「大晦日はなにしてるの?」ってスタートするところもまたイイんだよね。間違いなく1週間は長く聴けるもの(笑)。キリスト教社会なら年内まではクリスマス・シーズンらしいけど、日本は25日過ぎたらもうさっさとおしまい。僕がクリスマス・アルバムを好きじゃないのは、賞味期間が短すぎるってのも大きな要因なんだよねぇ~(苦笑)。

 お次はアルバム・タイトルにもなってる②“WINTER WONDERLAND”なんだけど、フルアコ1本のアルペジオをバックに歌うヴァースを経てからお馴染みのメロディーへ。Reg Schwagerなる発音も判らない(^^;ギタリストのスインギンな指弾きバッキングに乗せて軽やかに、無邪気に歌うエミリー・クレア・バーロウの歌い口はなんとも可愛らしい。途中、スキャットを入れてグッとジャズ的アプローチに傾けると、テナー・サックスも加わっての掛け合いに突入。いや~、これはお洒落な仕上がりだわ!と、つい声に出して感心してしまったほど。

 ここまででも充分、思いの外良いかも!と思わされていたけど、お次のブラジリアン・サンバにアレンジされた③“そりあそび”でノック・アウト。これは相当熱くて起伏もスピードもある、大人向けの「そり遊び」だよ。彼女の歌うブラジリアン・スタイルのアップ・テンポは滑舌もノリの良さも抜群。こちらも雪にまみれて、無邪気に笑い転げたくなるような楽しさだ。

 ここまでの3曲だけでも気持ちはしっかり満たされちゃうこと請け合い。


 そして、⑥にはまたまためずらしい人がゲストで登場。同じくカナダ出身のソフィー・ミルマン(参照→http://ilsale.blog55.fc2.com/blog-entry-66.html)のアルバムに楽曲を提供していたAOR系のシンガー・ソング・ライター、マーク・ジョーダンが今度はデュエットのパートナーとしてフィーチャー。昔と較べて、ちょっと声がハスキーになったかな?。(クレジット読むまで、今一つピンと来なかったけどね^^;。)

 ⑦は元々インストの楽曲にエミリー・クレア自身がヴォーカリーズで歌詞を付けたもの。ありきたりの選曲になりがちなクリスマス・アルバムに、こう云ったオリジナリティーの付加は嬉しいものだ。ちょっとした新鮮味が加わるだけで、アルバムの輝きが全然違ってくる。その歌詞も、冬の妖精“ジャック・フロスト”に「寒い冬はもうたくさんだから、あっちへ行って」と愉快に語りかける、温かく楽しい内容のもの。この歌にもクリスマスや大晦日って言葉は出てこないから、冬の間はずっと聴いていられるね(^^。

 続いて⑧はグッと情熱的に、愛が有れば吹雪も寒さもへっちゃら!と云うアーヴィング・バーリンの恋の歌。豪華にストリングスがフィーチャーされたボッサ・アレンジ。

 ⑨はジャジーなフルアコ・ギターが心地良くスイングする、みんな大好きな定番ナンバー。ギターとピアノが交互にソロを執る、100%おジャズなLET IT SNOW!。

 ⑩アルバムのラストはピアノとのデュオでしっとりとしたバラッドを。僕が知らないだけなのかも知れないけど、ありきたりでない、優しく温かいクリスマス・ソングだ。

 ⑪は日本盤のみのボーナス・トラック。とても軽快で心地良いスイングに仕上っているので、僕はこの曲の為に日本盤を推薦したいかな。クリスマスには、こんなふうに賑やかで楽しいナンバーも必要でしょう?。ま、3分半と短いから、少々考えどころではあるかもしれないけど・・・(笑)。





 この作品、クリスマス・アルバムとは銘打たれているけれど、選曲に一捻りしてあるので、総じてスタンダードのウィンター・ソング集と思って頂いても良いんじゃないかな。冒頭の繰り返しになるけど、クリスマスの企画物に偏見をお持ちの方にこそ、是非手に取って頂きたいアルバムです。ヴォーカリストとしてのエミリー・クレア・バーロウの魅力もさることながら、このアルバムではプロデュースもアレンジにも、その非凡な才能を大いに発揮しているので、彼女の作品に未だ触れた事のない方が最初に聴いてみるのにも良いでしょう。オリジナル・アルバムと比較しても、決してクオリティが見劣りするわけではありません。加えて、収録曲の半分はきっと冬の間中聴いていても、ぜーんぜん平気だと思います。最後まで、しつこく賞味期限に拘りますが・・・(笑)。



Emilie-Claire Barlow_Winter Wonderlandウィンター・ワンダーランド
(2007/11/07)
エミリー・クレア・バーロウ

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01. What Are You Doing New Year's Eve?
02. Winter Wonderland
03. Sleigh Ride
04. Santa Baby
05. Christmas Time Is Here
06. Baby, It's Cold Outside featuring Marc Jordan
07. Little Jack Frost
08. I've Got My Love To Keep Me Warm
09. Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow
10. Angels' Lullaby

Bonus Track for Japan
11. (Everybody's Waitin' For) The Man With The Bag


■Musicians

Emilie-Claire Barlow : vocal
Nancy Walker : piano
Reg Schwager : guitar
Kieran Overs : bass
Mark Kelso : drums

Produced by Emilie-Claire Barlow


試聴はこちらのサイトで可能です↓
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2614632




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エミリー・クレア・バーロウ

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