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マリリン・スコット / "INNOCENT OF NOTHING" [Adult Contemporary]

INNOCENT OF NOTHING

Artist : Marilyn Scott
Title : "INNOCENT OF NOTHING"
Release : 2006
Style : Adult Contemporary (Female Vocal)

jazz度数・・・★★★☆☆ (3/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ
Situation・・・


 マリリン・スコットの2004年12月以来1年半振りの新作。
 前作“NIGHTCAP”に引き続きプロデューサーにジョージ・デュークを迎え、ラッセル・フェランテ、ジミー・ハズリップ、ヴィニー・カリウタ、ブライアン・ブロムバーグなど強力豪華なサポート陣に囲まれ制作された今作は、オリジナル楽曲を中心としたアダルト・コンテンポラリ回帰作となった。彼女にAORやFUSION系シンガーの面影を追い続けてしまう僕には、スタンダードばかりを歌うよりもこちらのマリリンの方が、やっぱり嬉しい。




 別にスタンダードやカヴァーばかりを歌うマリリンが気に入らないわけではないのだが、どうも前作は僕にはピンと来なかった。1曲1曲をそれぞれに聴けば、さすがジョージ・デューク。しっかりと丁寧に作り込まれているし別段アレンジや演奏について文句はない。だけど、これって本当にマリリンが歌う為のものなの?、って疑問が僕の頭の中でモヤモヤと湧き起こってどうにもスッキリしなかった。それと云うのも、僕にはこれがまるで、ダイアン・リーヴスのアルバムのように思えてならなかったから。

 ご存じのようにジョージとダイアンは従兄従妹の間柄で、このコンビによる2001年のアルバム、『CALLING(サラ・ヴォーンに捧ぐ)』はグラミー・ウイナーに輝いている。元々ジョージにはダイアン以外にもラッシェル・フェレルなど多くの実力派ジャズ系女性ヴォーカル作品のプロデュース実績があったわけだが、ダイアンのグラミー受賞はここから3作品連続という快挙を成し遂げ、内2作を担当したジョージへの評価は更なる高みへと上昇。彼は今やこのジャンル屈指の人気プロデューサーとなっている。

 そして、マリリン・スコットと彼女の制作スタッフ達も当然そんなことを全て意識の下敷きにして、ジョージをプロデューサーとして起用したはず。

 しかし、結果としてこの条件下でマリリンとダイアンの歌を聴き較べてしまうと(そんなことをするファンは少数派かも知れないが)、どうにもマリリンには分が悪かった。彼女の実力が劣るとか、そんな問題でない。オーソドックスなアレンジでスタンダードをカヴァーするという、マリリン初の試みだっただけに、僕は着慣れていない借り物を纏った彼女を見せられたような気持ちになってしまったのだ。可もなく不可もなく、アルバム単位で考えるとどこか大人しい作品になってしまった感は否めなかった。

 そんなワケで、新作もジョージ・デュークがプロデューサーだと知った僕は正直、購入を躊躇っていたのだけど、①を聴いていきなりホッとしてしまった。長くコンビを組んできたラッセル・フェランテとの共作はコンテンポラリな作風。このままイエロージャケッツのアルバムに収録されていても決して違和感は無いだろう。僕がマリリンに求めるのは結局、完全なるジャズ・ヴォーカルのアルバムではなく、こうしたAORやフュージョン・タッチのサウンドが幹を成すようなヴァリエーションのものなのだ。

 実際このアルバムはアダルト・コンテンポラリなナンバーとオーソドックススタイルのジャズが交互に並ぶような構成にされていて、両ジャンルの制作に長けたジョージ・デュークならではの出来映え。フュージョン・シーンでの彼をずっと聴いてきた身としては、本格的にジャズにシフトする彼より、こちらの方がよっぽど自然に思えちゃうしね(笑)。

 スロー系で派手な楽曲ではないけれど⑦など、相変わらず彼女に「女・ボビー・コールドウェル」を求める人(笑)にはグっと来そうなナンバー。なんだかんだ云って、マリリンにはこんな都会的で洗練されたイメージの楽曲が似合うのだ。 


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Innocent of Nothing Innocent of Nothing
Marilyn Scott (2006/05/30)
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01. Round & Round / Ferrante & Scott
02. 'Round Midnight / Hanighen, Monk & Williams
03. Icebox / Ferrante, Haslip & Scott
04. Spring Can Really Hang You Up the Most / Landesman & Wolf
05. Moods fea.Steve Connell / Beasley & Scott
06. It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding) / Dylan
07. Share It / Neto & Scott
08. Wilderness / Ferrante & Scott
09. Flame / Duke & Scott
10. Change / Duke & Scott

■Musicians
George Duke : Key
Russell Ferrante : key
Vinne Colaiuta : drums
Jimmy Haslip : bass
Brian Bromberg : acoustic bass
Patrice Rushen : key
Ray Fuller : guitar
Nike Miller : guitar
Lenny Castro : percussion
Renato Neto : key
John Beasley : key
Steve Tavaglione : sax
Walt Fowler : trumpet




本文に関連するアーティスト、アルバム

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♪2004年12月発売の前作。スタンダード中心でしっとりとしたジャズ・アルバム

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♪ジョージ・デュークがプロデューサーを務めグラミー受賞のダイアン・リーヴスのサラ・ヴォーーン賛歌。
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