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ハイ・ファイブ・クインテット / "JAZZ DESIRE" [Jazz / instrumental]

Hi Five Q

Artist : High Five Quintet
Title : "JAZZ DESIRE"
Release : 2004 (※日本盤は2005年10月リリース)
Label : Millesuoni s.r.l.(Italy)
Style : instrumental( modern jazz )
jazz度数・・・★★★★★ (5/5p)
お気に入り度数・・・ ※最高は5つ
Situation・・・

My Desire

 「今年は、もしかしたらいろんなことが自分にとって節目の年となるかも知れないなぁ・・・。」
 何の根拠も無く、予測出来るような事柄も予定も無く、ただ単に漠然とした気持だけなのだが、何故かそんなふうに思えてならない。

 ここ数年、自分の中で澱んでいる何かを全て洗いざらい流し出してしまいたい、内側から自分をドラスティックに納得行くまで変えてしまいたいとずっと思っていたのに、結局は大した変化をもたらすことは出来なかった。
 思うばかりで、具体的な実行力や踏み出す勇気が僕には明らかに足りないんだ。些細な事の積み重ねを大事に出来無いくせに、自力だけでは辿り着きようの無い大きな変化を望んでいる。でも、努力しない人間は、結局同じ場所に留まっているしかない。ずっとずっと、澱んだままの自分で甘んじるしかないのだ。
 そんなふうに思い至ったら、もう去年までと同じじゃ嫌になった。堪らなく、心底嫌になった。もう立ち止まってないで、ひたすら進んで新しいものに触れて行きたい。望むだけじゃだめだ。具体的に別の自分に向かって進みたいんだ。




 そんな気持を込めて、本年のCDレヴュー1枚目は「Desire」という言葉に拘ってこのアルバムを選んだ。イタリアの若手ジャズ・ミュージシャン達の鋭気溌剌としたバップ作品。今年は音楽の趣味も目先を変えて進むつもりなのだ。
 

 冒頭の①から溢れるハード・バップのクールネス、ダイナミックな疾走感に、ここ最近に無い新鮮な衝撃を覚えた。めちゃくちゃカッコイイ!!。しかもそれがjazz関連のアーティストの話題がここ日本にまでほとんど聞こえてこないイタリアの若手クィンテットのアルバムなのだからショックは尚更だ。僕の知るところのイタリアのジャズ系の音楽と言えばIRMAレーベルなどの、ちょっとクラブのノリのアシッドめいたものやボサ・ノヴァと言ったイメージしかなかったので、この堂々とした真正面からのアプローチは「嬉しい不意打ち」以外の何ものでもない。




 このアルバムの主人公High Five Quintet(以下HFQと略す)はトランペット&フリューゲルホーン・プレイヤーのファブリッツォ・ボッソ(Fabrizio Bosso)を中核として集まったイタリアの若手ジャズ・ミュージシャン5人組バンド。
 
 初めて接するアーティストだから、ちょっと日本盤のライナーからプロフィール等をお勉強しておこう。
 ファブリッツォが1973年生まれというから今年で33歳。同じ楽器をプレイするドイツのティル・ブレナーとほぼ同世代。5歳でトランペットのレッスンを開始し、15歳時には早くも音楽学校へ入学しクラシックとジャズを平行して学び数々のコンクールで入賞を果たすなど、プロフィールにもティルと類似点がある。
 20歳でボローニャのビッグバンドに加入しプロ・キャリアをスタートさせると、ジョージ・ラッセル、デイヴ・リーマン、カーラ・ブレイなどの著名なビッグバンド・リーダーの指揮の下に演奏を経験。翌94年に早くも自身のクィンテットを結成し、その夏のイタリアのバンドコンクール「Summertime In Jazz」でベスト・ソリストに選ばれるなど輝かしい経歴を重ねる。
 以降はイタリア国内はもとよりリー・コニッツ、フィル・ウッズ、ビリー・コブハムなどのビッグ・ネームとのセッションも数多くこなし、同時に95年からは22歳にしてパリの音楽学校の教鞭を執る早熟ぶり。フリー・ミュージシャンとしてヨーロッパで売れっ子になった彼は99年より自身のバンドでのクラブ・ツアーを開始。2000年にイタリアを代表するモダン・ジャズ・レーベルのレッドから1stアルバムとなる『Fast Flight』を発表。2004年には2ndアルバム『Rome After Midnight』をリリースしている。

 ファブリッツォばかりに字数を割いてしまったが、HFQは彼がリーダーのバンドと言うわけでは無い。サックスのダニエ-レ・スカナピエコ(Daniele Scannapieco)をはじめ、5人の若手ミュージシャンが対等の立場でプレイする場として2002年に結成されたのがこのHFQ。
 ダニエーレはフランスのレーベルで1stアルバム『Daniele Scannapieco』(2002)も発表しているサックス・プレイヤーで、やはりパリに渡り演奏経験を重ね、メジャーなところではディー・ディー・ブリッジウォーターらのレコーディングにも参加している。ちなみに彼の1stアルバムにはファブリッツォも参加しており、それからというものコンビを組む事が多くなり、揃って多くのレコーディングに参加しているのだそうだ。

 このフロント・プレイヤー二人に、ファブリッツォの1stにも参加したピアニストのジュリアン・マッツアリエッロ、ベースのピエトロ・キアンカグリーニ(Pietro Ciancaglini )、ドラムにロレンツォ・トゥッキ(Lorenzo Tucci)を加えた5人で活動を開始。クィンテットとしての最初のアルバム『Jazz For More...』を発表する。残念ながら僕は未だ聴いていないのだがホレス・シルヴァーの1曲を除き、彼らのオリジナル曲 を中心に構成されだこのアルバムは、メンバー全員の高度なテクニックに裏打ちされた、若々しいヴァイタリティーに溢れた演奏がなされているそうだ。
 その後、ピアニストのジュリアンが病気の為に脱退し、新たにルカ・マンヌトゥーザ(Luca Mannutza)を迎えて現在のメンバー構成になり、2004年にリリースされたのが本作『Jazz Desire』というわけだ。
※(要旨、小川 充氏著の国内盤アルバムライナーより)




 このHigh Five Quintet、バップ・スタイルだけが今日日新鮮に思えたからだけの理由で気に入ったわけじゃない。バップという事だけなら、毎年多くはないが、必ず他にも何枚か新譜を聴いている。
 じゃ、彼らの音楽に何を感じたのか?。
 それは、彼らが演奏しているのは確かにモダン・ジャズ的音楽ではあるけれど、決して懐古主義的な内容ではなく、コンテンポラリでエネルギッシュなライブ・ミュージックだからに他ならない。
 バップを追求したいなら、リスナーは初めから50-60年代のジャズ・ジャイアンツの音源を収集すればいい。でも、そのスジを探求するのも将来的には良い趣味になるかも知れないが、やっぱり僕には何かまだ違うんだ。僕はやっぱり時代性やオリジナリティーを伴って、リアルタイムに肌で感じられる音楽が好きなんだ。そっちに行くのは当分先で良いよね。

 地下の薄暗くて煙草の煙にむせるような古のjazz喫茶で聴くようなマニア向けなjazzじゃなく、陽気なお国柄のイタリア生まれの彼らは、ひょっとしたらハード・バップで人々を踊らせられるライブ・バンドになるかも知れない。High Five Quintetの今後に要注意!。




High Five Quintet Italy

※これは輸入盤のジャケット。モノクロームの日本盤とは随分アートワークの雰囲気違いますね。ちょっと、やんちゃっぽい(笑)。

Jazz DesireJazz Desire
(2005/10/30)
ハイ・ファイブ・クインテット

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01.Conversation (Daniele Scannapieco)
02.Another one bites the dust (John Deacom)
03.Libero (Luca Munnutza)
04.Dubai (Fabrizio Bosso)
05.Campagne (Pietro Ciancaglini)
06.Condado (Daniele Scannapieco)
07.Shade of Gira (Luca Munnutza)
08.Wide green eyes (Fabrizio Bosso)
09.The driver (Pietro Ciancaglini)

bonus track
10.Conversation (Nicola Conte New Jazz Version)
11.Conversation (Nicola Conte New Jazz Club Mix)

■Daniele Scannapieco (tenor sax), Fabrizio Bosso (trumpet & flugelhorn), Luca Mannutza (piano), Pietro Ciancaglini (double bass), Lorenzo Tucci (drum)




[CD]ファブリツィオ・ボッソのソロ・アルバム
Fast FlightFast Flight
(2000/01/01)
Fabrizio Bosso Quintet

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