背伸びして聴いた“ESCAPE”~ルパート・ホームズ [my favorite songs]
"ESCAPE"
Rupert Holmes / 『PARTNERS IN CRIME』(1979)より
先週の金曜日、知人の音楽ライター・金澤寿和氏の主催するAOR系DJイベント@渋谷WASTED TIME に行って来ました。そう、あのAORライトメローの金澤大先生でございます。
今回もフォトグロやらフランキー・ブルーやら、僕が自分で持っているのも忘れていたようなアルバムや、めちゃレアな音源などてんこ盛り。残念ながら所用が有って、ごく短い時間しか居られなかったのですが充分楽しめました。毎回毎回新しい発見があって嬉しいんですが、簡単に買えない悶絶レアモノが多いのが困ります。ま、そっちの方が破産しなくて済みそうだからいいのかもね(笑)。
金澤さんのweb site:http://www.lightmellow.com/index.html
しばらくの間本当に夢中になり過ぎた反動でしょうか(苦笑)、ここ最近、僕の中ではAOR熱がやや低くなってしまっているのですが、時々はこう言うイベントに行ってコアなAORファンの先輩方の話を聞くのも、やっぱり楽しいものです。僕の様な後追いが無理矢理知識着けて知ったかぶりするのはとっても見苦しいもんですが、リアルタイムで追い掛けてた人達の話は、音楽に時代背景が付いてくるから面白いんですよね~。
例えば僕が初めてAORって言葉を聞いて、意識したのはクリストファー・クロスの『南から来た男』からだったと思うのですが、当時まだ中学1年生。自分でLPをぱっぱと買えるほどお小遣いも潤沢ではありません。それに自分の中での音楽のプライオリティだって、一番じゃなかったし。LP買うより、オックスフォードのボタンダウン・シャツやトップサイダーのデッキシューズの方が絶対に欲しかった。音楽はラジオでエア・チェックしてカセットで聴くか、友達の誰かが、もしくはその兄姉がLP持ってれば頼み込んでテープに入れて貰うのが常でした。
そう、この友達のお兄ちゃん、お姉ちゃんって世代がAORリアル世代なんですよ。13~14歳のおこちゃまから見たら、ほんとに20歳前後の大学生って、眩しいくらいオトナに見えてたもんなぁ~、あの頃。所謂、「なんとなくクリスタル」(笑)な世代の方たちですね。彼らの世代に憧れて、ずっと背伸びをし続けていた気がするんですよ、僕なんかは。
そんな僕の一番の背伸びがこの1曲です。AORと云う言葉を意識した上で、一番最初に好きになったAORアーティストがルパート・ホームズ。(あの頃はみんな(?)ホルムズって読んでたと思うけど。)
ある日ラジオから流れてきた“ESCAPE”イントロの、明るく乾いたギターのリフ、ゆったりしたベース・パターンに乗るルパートの声は、まさにオトナの男の余裕ってゆーか、若いヤツには絶対に出せないだろう、彼のアダルト・ムードに一発で魅せられてしまったのです。その頃の僕は“バグルスのラジオスターの悲劇”とかスペクトラムとか、ちょっとユーモアを感じる音楽が好きだったんだけど、もうルパート・ホームズは別世界。歌詞なんて解らなくても(実際は中学生に解っちゃ困るムフフな詞ですが・・・)醸し出されるムードに酔わされちゃったんです。酔ったついでにピナ・コラーダの味も・・・(以下自粛)。
グリッサンドから始まるベース・ラインが耳に強く残るメローな“HIM”も大好きだったし、留守番電話なんて一般の日本にほとんど存在しない時代の“ANSWERING MACHINE”から溢れる都会的なムードも堪らなくお洒落だったなぁ。また歌詞が解る今の様な年齢になると、ほんと面白いんですよね~。ルパートの詞はまるで1曲が1曲が完成されたショート・ストーリーみたいだから。
そうそう、以下余談になりますが、「クリスティーナの好きなコト」って、キャメロン・ディアスのしょーもない青春(っていっても20代後半の)映画がありましたが、ご存じでしょうか?。あれに挿入歌で“ESCAPE”が使われていたのには、ホント苦笑してしまいました。だって、曲が流されるのが、呆れるくらいにおバカなシーンなんですもん・・・(^^;
ほとほと“おばか”な映画ですが、笑えます(^^;
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