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リー・リトナー / "OVERTIME" [DVDレビュー]

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Artist : Lee Ritenour
Title : "OVERTINE"
Release : 2004
Style : Contemporary jazz / Fusion (guitar)
jazz度数・・・★★★☆☆ (3/5p)
お気に入り度数・・・
※最高は5つ

 昨年12月22日に発売されたリー・リトナーのDVD『OVERTIME』を繰り返し観ている。実際は「観てる」って言うより「聴いている」の方が正解かな。PCでメール打つ時も、ここのブログ書く時もバックで流し続けてる。

 VideoArtsさん、本当にありがとう・・・。フュージョンみたいな音楽が売れない時代に、こんな凄いメンツでたっぷり2枚組。それも素晴らしい画質と音質で。嬉しくて、まぢ涙出そうデス・・・。 


 このDVDはリー・リトナーのキャリア30年を振り返る、彼の集大成とも言えるべきスタジオ・ライブ作品で、L.A.郊外のスタジオを親密なムード溢れるジャズ・クラブに模し、リーの関係者や友人を観客として招き入れた中で収録されている。初期のクロスオーバー/フュージョンに始まり、80年前半のAOR、85年のGRP移籍以降のブラジル傾倒作、90年代からののジャズ作と、各時代の作品より満遍なく代表曲が演奏され、余すところ無く彼のソロ活動に於ける音楽の魅力を再提示しているものだ。

 それぞれの時期をともに過ごした音楽仲間たちを総動員して「あの頃」の音を再現しているのだが、盟友デイヴ・グルーシンハービー・メイスン以下(きりが無いのでメンバーの名前をいちいち挙げるのは控えるが)皆に超がつくような一流揃い。確かに齢は重ねたかも知れないが、懐かしさのみがクローズアップされてしまうようなレベルの演奏であるハズがない。彼等の音楽は今だって洗練の高みで益々いきいきと輝いていた。

 そこにあるのは、気心知れたトップミュージシャン同士にしか作り得ないだろう素晴らしいインタープレイ、コラボレーション。お互いをインスパイアするインプロビゼーション。アイコンタクトに依るその場その場での瞬間的なアイデアの交換、同調による曲の発展。そして収束。こんな場面にワクワクする事こそジャズを観る者の愉しみ。ジャズクラブに通いたくなる理由。他に何かある?
 
 終始リラックスしたムードの中の彼等はみな笑顔で演奏している。イヤになるくらいテクニカルな、難易度の高いプレイをしているのにそれを感じさせないにこやかな笑顔。もうこちらはただただ降参。イバン・リンスがインタビューで、「リーが呼んでくれたんだ」って嬉しそうに語るのが象徴的だ。この作品全体を支配するウォームなムードは、まさにリーの『FRIENDSHIP』のたまものなんだろうね。



 僕はジェントルソウツ世代ではない。それよりもう少し下の世代だ。『RIT』当時のリトナー・バンドのボーカリスト、エリック・タッグの声に強く惹かれてリーのファンになったクチ。だから彼が自身でロックアイドルのようだったと語る、熱狂的な日本のファンが猫も杓子も“CAPTAIN FINGERS”だった時代は全く知らない。僕はまだ小学生だったものなぁ。

 そんな「後追い」の僕も、リーの音楽を聴き続けて20年以上になる。
今作にもし、エリックとフィル・ペリーも一緒だったら・・・。ドン(グルーシン)やエイブ(ラボリエル)は今回は忙しかったの?。ボブ・ジェームスとの「TWOPLAY」が有ったって・・・と無い物ねだりは尽きないが、彼はいつも何かしら新しい試みを我々ファンの目の前に差し出してくる人だ。このDVD作品も決して後ろ向きな「過去の集大成だけのもの」にはしたくなかったんだろう。

 そんな彼が新たにイントロデュースしてくれた若き才能がまたひとつ。
僕の大好きなシンガー、レイラ・ハザウェイの妹、ってコトは当然に故ダニー・ハザウェイの娘でもあるケニヤ・ハザウェイだ。今回はリーの最大のヒット曲で知られるAORチューン、“IS IT YOU?”を歌うなど、現在進行形部分でのメインボーカリストとしてフィーチャリングされている。

 ぽっちゃり型(笑)のおねえちゃんとは違って、見た目もなかなかキュートなレディなのだが、そんなコトより何より僕の好きなタイプのの声質をしている。レイラのように深みのある陰りをたっぷりと含んだそれではないが、敢えて無理矢理に好きなシンガー二人を引き合いに喩えると、(レイラ+シャンテ・ムーア)÷2、って感じかな。アルバム『The Captain's Journey』(1978)ではビル・チャンプリンがアーシーに歌っていた“Morning Glory”がケニヤの声を得て、なんともしっとりとした柔らかな表情に生まれ変わっているではないか。

 今回このライブで演奏された彼女のオリジナル、“Possibilities”は、リーが取り上げただけあってなかなかに好感を持てるミッド・スロウ・ナンバー。かつては自己のieレーベルを興してヴェスタのアルバム『RELATIONSHIP』(1998)をプロデュースもしているリーだけに、ケニヤの本格デビューにも彼の助力を大いに期待したいものだ。



 最近、個人的には大きな会場で行われるようなコンサートに腰が引けてしまっている僕は、やっぱり今年もBlue Noteのようなこぢんまりしたハコで観るライブが多くなるだろう。去年の夏に行われたジャズ・フェスでのジェントル・ソウツのリユニオンも大いに迷いはしたが、結局は行かず終いだった。

 僕がリーを最後に観たのはイバン・リンスを伴ってのBLUE NOTE公演だったから、かれこれもう丸二年くらい前になってしまうと思う。そろそろ、またクラブツアーを行ってくれてもいい頃合いだろう。

 個人的な希望を述べるとすれば、デイブ・グルーシンを伴うのは無理としても、代わりにこのDVDでも最後まで彼の現在のバンドと一緒にローズを弾いているパトリ-ス・ラッシェンを連れて来てくれたら、それはとっても嬉しいな。このDVDの、部分的にでもいいから再現されるのをライブで観たいもんね。出来ればその会場がMotionBlue Yokohamaだったなら、なお嬉しい[わーい(嬉しい顔)]



アンソロジー・ライヴ~ジェントル・ソウツ・リユニオン

アンソロジー・ライヴ~ジェントル・ソウツ・リユニオン

  • 出版社/メーカー: ビデオアーツミュージック
  • メディア: DVD



Overtime (2pc) (Dol)

Overtime (2pc) (Dol)

  • 出版社/メーカー: Eagle Vision USA
  • メディア: DVD



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